世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

行列のできる… (代理人更新)

3月になったから厚いコートはやめよう、ブーツもやめよう、と思ったのですが、ブルブルブル。

寒さには勝てず、まぁいいかを選んだ代理人です。

 

しらせの食事の風景をみて「THE 学食」と思ったのは代理人だけでしょうか?

 

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食事は、「しらせ」での船旅の楽しみのひとつです。毎食、メニューは決まっていて、注文などはできないのですが、10年前に乗った先代の「しらせ」よりもごはんは美味しくなっているように思います。

ただ、各自で盛り付けるので、ちょっと時間がかかります。

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揺れているとけっこうつらい待ち時間になりますね。

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2月25,26日の昼食と夕食の後にソフトクリームが出ました。

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こちらも長蛇の列になりますが、ごはんを待つ列よりも笑顔の割合が多いような…。

アムンゼン湾3 ペンギンの「幼稚園」 (代理人更新)

ようこそ3月。

子どもの頃は4月になると進級し「変わる」ということを全身全霊で感じていたように思います。

大人になってからは、この感覚を味わうことが少なくなり「つまんねぇなぁ・・・」とぼやくこともありました。

でも、今年の代理人は違います。

ご本人が帰ってくる=環境が大きく変わります。

この変化をよく噛んで、噛んで噛んで堪能したいと思います。

 

ただその前に、すべきことは沢山あります。

ご本人の歯ブラシもないし、靴は邪魔なので靴箱の高いところに置いてある・・・(捨てなかっただけありがたいと思え!)。

家の中にご本人の痕跡はありません。

ご本人を迎える準備は沢山ありそうなので、リストをつくろうっと!

(すでに軽い仕事になっている・・・)

 

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24日の午後、装置の起動を確認したあと、ヘリコプターのお迎えが来るまで、少し時間がありました。ちかくでペンギンたちの声が聞こえていたので、あるいて行ってみました。

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この写真のペンギンは、昨年末か今年のはじめに生まれたこどもたちです。ヒナの灰色から一人前の白黒に、羽が抜け替わっているところのようです。

越冬中、12月にペンギンの数を数えに行きました。

nankyoku-30nin.hatenablog.com

夏隊も同じようにこの時期のペンギン調査をしているのですが、この夏は氷が割れて海が開いているので、餌がたくさんあって、例年よりペンギンのこどもの数は多いのだそうです。

アムンゼン湾2 山と海 (代理人更新)

今日で2月が終わる・・・。

昨日のご本人の記事の「やっと仕事が終わった。これで帰れる」という言葉から、急に帰国が現実味をおびてきた代理人です。

「本当に帰ってくるんだ!やばい、準備しなくちゃ!!」

現在、家にご本人のシャツもパンツも靴下も、箸も酒もタオルもありません。

帰国までにものの用意とそれらを入れるスペースの確保。

軽い引っ越しだぁ・・・。

代理人、頭がクラクラしてきました。

 

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アムンゼン湾の装置を移設したあたりは大変に風光明媚なところです。船内からは解像度の良い写真を送れないのが残念です。

まず、ヘリコプターをおりた所から眺める山。青空が広がった2月23日の写真です。

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まんなかの一番高いのが、リーセルラルセンという山で、頂上付近はギザギザの岩場になっています。

その反対側をみると、入江に波が打ち寄せています。

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アナと雪の女王」にこんな感じの入江に船が入ってくるシーンがあったように記憶しているのですが、気のせいかな。
これも昭和基地の近くでは見ることのない景色です。

アムンゼン湾1 最後のおしごと (代理人更新)

ご本人の第57次日本南極地域観測隊員としての最後の仕事が無事に終わりました!

でも、しらせの観測はまだ続きます。めざせオーストラリアではなく、めざせ次の観測地点のようです。しらせはいろんな観測しているのですね。

 

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帰り道に残された最後の仕事、無人オーロラ観測装置の移設をしてきました。一年間、昭和基地内でテストしたものを、550キロメートル離れたアムンゼン湾の海岸に運んで組み立てます。

nankyoku-30nin.hatenablog.com

2月19日に1日目の作業をしたのですが、20日から22日まで3日間は天気が悪くヘリコプターが飛びませんでした。天候が回復した23,24日の2回、出かけて作業を終えました。3回とも日帰りです。

初日と二日目は、建築や電気の担当隊員にもおねがいして、両日とも13人と大人数で現地に向かいました。

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さすがはプロ。岩盤への穴あけ、足場の組み立て、風力発電機の設置など、現場に出るとてきぱきと作業が進み、二日目のお昼過ぎには完成しました。

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23日の午後から24日にかけては、国内と衛星電話で連絡を取りながら最終調整。無事に稼働したことを確認して、最終便のヘリコプターで「しらせ」に戻りました。

 

24日の夕方、「アムンゼン湾を離れ、ケープダンレー(次の海洋観測地点)へ向かう」と艦内放送がありました。これを聞いて、自分としては昭和基地を離れるときと同じような感慨を覚えました。やっと仕事が終わった。これで帰れる。

「しらせ」の内訳 (代理人更新)

最近土ぼこりが気になり、洗濯物を外に干すか部屋にしておくか悩む代理人です。

あぁ春だぁ。来月の今頃は観測隊は帰国しているんだ。。。と感慨にふけるのですが、未だ帰国後の生活がイメージできません。

なにせ、第57次越冬隊の出発は2015年12月ですからね。今は2017年もうすぐ3月ですからね。長い時間が経過して、いないのが日常になっています。

さて日本に向かっているしらせの中で一番多いのは誰でしょう?答えはご本人が教えてくれました。

 

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意外に知られていませんが、日本から南極に行く人で、一番多いのは海上自衛隊員の方々です。

「しらせ」に乗っている人は
自衛隊員 179人
58次夏隊員・同行者 47人
57次越冬隊員 30人  です。

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昭和基地に居る58次越冬隊員を加えても、いま南極に居る日本人の半分以上は海上自衛隊員です。

海自の方にうかがったところでは、「しらせ」勤務は人気があって倍率の高い配属先なのだそうですが、無寄港の航海としては断然長いものなので、そこはそれなりに大変、とのことでした。