世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

「しらせ」のごはん  (代理人更新)

しらせの中でご飯を食べるのもあと一日です。

本日は「しらせ」ごはんをふりかえります。

明日シドニー入港、23日に帰国予定です。

 

こんなことを書ける日が来るなんて、代理人は・・・なんて泣いたりしません。

着々と進めている準備の追いこみです。

なにせ、家のなかはご本人のものをほぼほぼ撤去していましたから。スペースの確保とご本人の生活物資の購入と、あとは何をすればいいのだろう?ない頭をフル回転させています。

ご本人の帰国=どこかの星から宇宙人がやってくる感覚です。

 

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暴風圏を抜けて、「しらせ」での航海ももうすぐ終わりです。
「しらせ」のごはんを紹介します。2月に定番メニューをupしましたが、

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それ以外の、朝、昼、晩ごはんをひとつずつ。

朝ごはんは、ごはんとお味噌汁、それに納豆とか赤いソーセージとかひとつ。あとはお漬物です。金曜日の朝は写真のように焼き鮭がつきます。

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お昼ごはん。ポークピカタ、パスタ、煮物、山芋。キャベツやスライスオニオンをたくさん食べられるのがうれしい。

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お昼は肉、夜は魚をメインにすることが多いような気がします。この日はサンマの塩焼き。お魚が苦手な外国の方のために、鶏のあんかけ、小エビ、ビーフンなどサイドメニューが充実。

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たくさんの人が短い食事時間で食べるので、麺類を出すのは難しいようです。ときどきパスタや蕎麦が出てきますが、茹でたてあつあつ、というわけにはいかない。
「ラーメン食べたい!」という声をよく聞きます。

シドニーに着いたら (代理人更新)

しらせが文明社会の一歩手前までやってまいりました。 

本当にもうすぐです。

シドニーに着いたら、お財布を持ってほしいものが買えるようになりますよ。しらせと雪上車以外の乗り物で好きな所に行けますよ。生ビールも飲めますよ。

インターネットもつながりますよ!!!

 

代理人も着々と準備をしています。ご本人のお箸もタオルも歯ブラシも買いました。

まだシャツとパンツと靴下とパジャマを買っていないので、予定より早く帰ってきたら困りますけどね。

 

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そろそろ、シドニーに着いたらどこに行く?という会話が増えてきました。予定では、3月20日に入港。オーストラリア入国手続きのあと、お昼ごろには外に出られるみたいです。中1日おいて、22日の夕方には「しらせ」から空港に向かいます。月曜日から水曜日の滞在なので、スポーツイベントなんかはあまりないのですね。競馬場に行って大勝ちしてファーストクラスで帰る、という計画は実現できないようです。

 

わたしがシドニーで行きたいと思っているところは二つ。
一つはParsley bay beach。百年以上前に白瀬矗の一行がキャンプしていたところです。

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白瀬隊は、最初の年は出発が遅れたこともあって南極大陸へ上陸できず、引き返して1911年5月から11月までテント生活をしていました。どうやら「勝手に住みついた」ようで、地元の方との軋轢もあったようです(そりゃそうだ)。
シドニーの東の郊外の、海岸の公園に、記念碑が建っているそうです。

 

二つ目は、パブでライブを聴きたい。
昭和基地でネットが繋がるうちに調べたところ、地元のジャズバンドが出ている飲み屋があるようなので、行ってみようと思っています。現地情報で気が変わるかもしれませんが、生演奏を聴きながらオーストラリアビールを呑みたいですね。
越冬隊員が財布を忘れて出かけてしまった、という話をよく聞くので気をつけないと。

最後の(?)試練 (代理人更新)

暴風圏の揺れ、イメージしただけで目まいが・・・。

これを抜けたら、文明社会に到着ですよ。

南極観測隊としらせ自衛官以外の人間に逢えますよ。1年以上人里離れたところにいて、都市をみるってどんな気持ちなのでしょう?

街に出るときはお財布を忘れずに。盗まれないように警戒心も必要ですよ。

 

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「しらせ」が北上をしています。船で南極に行くとき、帰るときは、常に強風と高波にさらされている暴風圏を通過します。
絶え間なく進行方向タテヨコにゆらゆらと揺らされ、ときどき"どーん"という鈍い音がして、船ががくんと落ちる感じが味わえます。私は、あまり気分が悪くなったりはしないのですが、食事の後はおなかが落ち着くまでベッドに横になっています。そのままうたた寝してしまうこともありますが、これも船酔いの症状に違いない。
いや、まあ、単にナマケモノであるから、かもしれませんが、ご飯も食べられず部屋で息を潜めている人たちにくらべれば、ありがたいことです。

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この写真は海面から20メートル以上(5階建てのビルくらい)の高さの甲板から撮ったのですが、直後に波しぶきをかぶってメガネが曇って、前が見えなくなりました。

暴風圏を抜けたら、シドニーは目の前です。

散髪ブーム (代理人更新)

 しらせのなかも、いよいよモードですね。

カリスマ美容師、様になっていますね。本職は越冬隊員ですよ。南極には美容師がいませんからね、自分たちのことは自分達でまかなわないと。

 

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文明社会への復帰に向けて、髪を切る人が増えています。
「しらせ」の理容室もなかなかの繁盛。

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わたしも越冬中にお世話になったカリスマ美容師にさっぱりと刈ってもらいました。

続・越冬隊と映画「オデッセイ」 (代理人更新)

ご本人、映画「オデッセイ」を観たんだぁ。代理人が観てから1年がたったんだぁ。そして、もうすぐご本人が帰ってくるんだぁ。あ~、やっぱり長かった。。。と代理人は感慨にふけてしまいましたよ。

 

それにしても、南極に行った人にしかわからない感想ではないか!!前回よりブリザードが大変だった?帰ってこれないと感じたことがあった??もしかして、死にかけたことがあった???

あと8回寝たら帰ってくるので、ご本人に聞いてみようっと。

 

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映画「オデッセイ」のDVDを、「しらせ」船内で見ることができました。昨年2月に代理人が見て、記事を書いていますね。

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事故で火星に取り残された主人公が、手持ちのもので生き延びて、救助してもらうまで。言ってみればロビンソン・クルーソーの火星版ですな。

 

見てみたら、南極っぽくてびっくりしました。冒頭の砂嵐は越冬中に経験したブリザードにそっくり。火星の景色も、赤っぽい砂を白い雪に変換したら南極です。細かいツッコミどころ(中国と米国の宇宙モジュールのドッキング部分は互換性があるの?とか)はありますが、あまりトンデモにもならず、最後まで楽しめました。

 

とりあえず、「南極物語」、「復活の日」よりはずっと南極らしい映画です。