世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

59次隊の隊員室開き

 7月7日の金曜日、極地研究所で開かれた、59次隊の隊員室開きに行ってきました。

その年に出発する隊員が仕事する「隊員室」は7月初めにオープンします。例年、そのあとの金曜日の夜に、隊員室開きが行われます。

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 極地研究所の倉庫が会場です。このあと秋にかけて、この巨大なスペースが南極行きの荷物でいっぱいになります。

 

2年前には、ざあざあ降りの雨の中でホスト役で走り回っていましたが、

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今回はお天気が良くて、よかったですね。バーベキューなど屋外でいただきました。

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3月に一緒に帰ってきた57次越冬隊、58次夏隊の人もたくさん来ていて、缶ビール片手に話が弾みました。

 

この日は七夕。ねがいごとはやっぱり・・・ですね。

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(”ピステン”というのは雪上車のブランドです。こわれたらたいへん。)

 

昭和基地は太陽が昇らない極夜のさなかです。昨年のわたしの短冊は「もうちょっと天気が良くなりますように」でしたら、叶えられなかったなあ。

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帰国後身体検査の結果

 極地研究所から、4月に受診した帰国後身体検査の結果報告が届きました。6月に開催された極地観測隊員健康判定委員会における審議の結果は、"要経過観察・生活改善"でした、とのことです。

4月13日付の記事に

> 病院に検査の結果を問い合わせても結果は教えてもらえません。

と書きましたが、ちゃんと結果を送ってもらえましたね。たいへん失礼しました。

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再検査・精密検査は指示されなかったのですが、いくつか「生活改善や経過観察が必要です」という項目があります。 この検査を受けたのは帰国から20日くらいあとですが、当時はお酒を飲む機会も多くて、あんまりコンディションは良くなかったかな。

いまは体重も4月から3キロ減ですし、血圧も下がってきているし、すでに改善されたところもあるんじゃないかと期待していますが、どうでしょう。7月初めに現在の職場の健康診断を受けたので、その結果を待つことにしましょう。

 

お題「健康」

 

映画「ホワイトアウト」2009年

6月26日にテレビ東京午後のロードショーで放送された「ホワイトアウト」を録画して見てしまいました。織田裕二主演の邦画じゃなくて、アメリカ映画です。

不意に「エログロナンセンス」という言葉を思い出しました。

www.tv-tokyo.co.jp

エログロナンセンス】扇情的で猟奇的、かつばかばかしいこと。また、そのようなもの。

コトバンク> デジタル大辞泉 より)

 

アムンゼンスコット基地(アメリカ)、ボストーク基地(ロシア)が舞台になっていますが、越冬経験者から見ると噴飯モノ。

・行方不明者が出ても楽しそうにパーティーやってる。

・10万年前の氷に酒を注ぐとソーダのように泡があふれかえる。

 (10万年前ってのは掘り出したアイスコアなの?それで酒呑んじゃうの?)

パイロットと客1人で基地間飛行しちゃう。

・雪上車から下りて調査している間にエンジン切っていて、帰ってきたらかからないよう!(極地でアイドリングストップしちゃいけません)

…その他いろいろ、つっこみどころしか無い。

さらに、まったく本筋にからまないシャワーシーンとか、死体をしっかり写して、とか米国B級映画らしさが満載。まさ「扇情的で猟奇的、かつばかばかしい」ことこの上ない作品でありました。

 

唯一、ライフロープの使い方は正しかったかな。

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うーん。これが帰国100日記念の記事になっちゃったか。

小学校でキャリア教育

6月24日の土曜日に、杉並区立沓掛小学校で南極の仕事についてお話しをしてきました。沓掛小では毎年、6年生の「総合的な学習の時間」の中で「お仕事見本市」という時間を作って、職業のお話しを聞く学習をしているそうです。今回は南極観測隊のほかに、ファッションデザイナー、農業、パティシエなど、あわせて12の職業紹介がありました。

キャリア教育としてのお話なので、お子さんによろこんでもらえるペンギンの動画などは無し。自分の担当としてのオーロラ観測と、観測隊全体の仕事について紹介しました。

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(写真は沓掛小学校支援本部から頂きました。)

 

こどもたちは6人くらいの班に分かれて、2つの職業について話を聞きます(講師は25分のお話を2回、します)。みんな熱心にメモを取っていて、えらいなあと思っていたら、聞いた話をまとめて発表するのだそうです。そのプレゼンを見てみたいものですね。

 

少人数で講師との距離も近いからでしょうか、質問はたくさんいただきました。

「食料の補給は何回ありますか?」と聞かれて、

「年に1回、船で運ぶだけですよ」と答えると、びっくりして絶句してました。

 

自分が小学生の時にこんな授業があったら楽しかっただろうなあと思います。南極観測隊の仕事は、彼らにとってどんな風に見えたのかな。

第59次南極地域観測隊員、同行者が発表されました

今年の11月に日本を出発する、第59次南極地域観測隊員、同行者が報道発表されました。

第59次南極地域観測隊員等の決定について:文部科学省

厳しい健康診断をパスして隊員名簿に載ったみなさん、おめでとうございます。

私の場合は、隊員として決定がでたのは、出発まで3週間あまりになった11月9日でした。

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隊員の正式決定をする南極地域観測統合推進本部総会は年に2回、6月と11月(または12月)に開催されるので、6月に健康診断等の結果が間に合わないと、出発直前になってしまうのですね。

 

最近、このブログの「注目記事」に、昭和基地の夏宿舎の記事がエントリーされてきているので、59次隊員も読んでくださっているのかしら。

ここでひとつ、小さなアドバイスを。

「お買い物は計画的に」

私物の荷造りに間に合うように、時間的に余裕をもって用意しましょう。それに、日焼け止めなどは日本の夏のうちに準備しておかないと、出発直前になったらなかなか見つからなくて苦労しますよ。