第60次南極地域観測隊員が発表されました
今年の秋に出発する、第60次隊の隊員が発表されました。
私が48次隊、57次隊で南極にてご一緒した方も何人か入っていました。おつかれさま、という気分と、ちょっと羨ましい気も?
今回の越冬隊は31人、そのうち29人がすでに決定して、あと二人が未定だそうです。南極経験者とはじめての人の割合を見てみました。
1/3が経験者です。が、よく言われるのが"南極では経験者のいうことを信用しちゃいけない"。まあ、正確には信用し「すぎ」てはいけない、ということです。南極の状況は毎年変わるなかで、"あのとき大丈夫だったんだから"という経験は、大変にあやういものになりかねません。ともかく、ご安全に!
あと、調理担当の隊員は、経験者とはじめてのペアで行くことが多いようです。南極でご飯を作ることよりも、その準備に経験者が必要だからだと思います。1年分の食料を過不足なく(←ココ重要)予算内で購入して積み込む、というのは、はじめての人にはかなり難しい仕事なのでしょう。
地震に遭う
大阪の地震で被災された方にお見舞い申し上げます。
6月18日の朝、学会会場へ向かうバスに乗っていたら、”うぃんうぃんうぃん”と、乗客のみなさんの携帯が一斉に鳴り始めました。緊急地震速報です。
奈良市内でも震度4が観測されたそうですが、走るバスに乗っていると揺れには全く気づきませんでした。
研究会議の開催には影響はなかったのですが、問題は帰りの新幹線が動くかどうか。
予定より一時間ほど早く、近鉄で奈良から京都に移動しました。
JR京都駅では新幹線だけが動いていて、在来線はすべて運休、改札口にはたくさんの人が集まっていました。
こういうときにじたばたしない、というのは南極で身につけた心得かもしれません。たとえばブリザードが来たら終わるまで英気をやしなっておく、と。
腹ペコになっちゃうと辛いので、食料と飲料水を買い込んで20時過ぎののぞみ号に乗りましたが、遅れはほとんど回復していて、ぶじに帰ることができました。
奈良に行ってきました
6月17,18日に、奈良に行って、国際大気電気会議に参加してきました。
私の研究に関する発表が月曜日に組まれたので、1日だけ仕事をお休みして出かけることができました。
「大気電気」というのは、雷を含む、文字通り大気中の電気に関わることです。研究している人は日本国内でもそんなに多くはない。私の専門分野に近い人はさらに少なく、せいぜい20人くらいか、もっと少ない?
ですから、 世界中からエキスパートが日本に集まってくれるこの機会は大変貴重です。
私の研究発表は、南極のブリザードのさなかに観測された電場の変動について、です。晴れていて静かなときにも、高さ方向に1メートルあたり100から150ボルトくらいの電圧がかかっています(電流が流れないので感電はしません)が、吹雪のときにはその10倍くらいの電圧が発生します。
雪粒同士が擦れあってできるまさつ電気のせいでしょう、と言われていたのですが、それだけではうまく説明できない。私は雪粒の持つ電気をモデル計算して、どういう状況ならこんなに大きな電場が発生するかを考えているところです。
で、それはなんの役に立つの?とよく言われるのですが、例えば、火星。
火星は寒くて空気が薄いので、入道雲が発生することはないのですが、砂嵐の中では雷が発生しているのではないか?と言われています。
火星に人が行く時代になったら、砂嵐のときに周囲の電気的な環境がどうなっているか、はとっても大事なことのひとつです。
映画「オデッセイ」でも砂嵐に飲み込まれるシーンがありましたが、雷は鳴っていたかなあ?
南極観測隊員の転職先(のひとつ)
遅ればせながらのご報告ですが、4月からアスタミューゼ株式会社というところに勤めています。テクノロジーインテリジェンス部に配属されまして、研究・技術データの分析を仕事にしています。
先日、社内で行われたカンファレンスの記事で、
私の写真が出ちゃいましたが…似ていますなあ。自分の写真をまじまじと見ることはめったにないのですが、これはやばい。
このアイコンのもとは、噺家の三遊亭兼好師匠にいただいた切り絵です。
作ってもらったのは、前回じゃなくて前々回、2006年に出発した第48次隊に参加したときなんですが、あれから十年、切り絵に現実が近づいてきた?
極地の観光
5月19日(土)の午前、「南極 & 北極の魅力 講演会」でお話してきました。50人くらいの方にお集まりいただきました。
いつものように「南極観測隊第一次隊の記憶のある方いますか?」と尋ねてみたら、今回はちょっと少なめ。お若い方が多いようです。
講演の様子はyoutubeにupされています。
南極&北極の魅力講演会 - 第16回 - オーロラ観測と生活
さて、私の直後にお話しのあった、国立極地研究所を今年退職された石沢さんのお話しがなかなか面白かった。とくに南極観光についてのお話が興味深かったです。
- 年に8万人。
- お客さんは米国人がいちばん多く、最近は中国人が2位に浮上。
- 日本からのお客さんは2%、だから年に800人。
- 行き先はほとんどが、船でアクセスしやすい南極半島。
- 南極点に行ったり、南極大陸最高峰のビンソン・マシフ山に登ったりするツアーもある。
- 昭和基地には過去に1回、米国からの旅行客が来た。昭和基地のまわりには、船の入ってきづらい定着氷があって、空路で人を運ぶのが大変でお金もかかるから、そのあとはお客さんが来たことはない。
昭和基地はオーロラはよく見えますが、白夜の夏に訪れる観光客にとっては、そこまで魅力的ではないのでしょうね。オーロラはアラスカや北欧などで、もっとお安く楽しめますし。
私が初めて海外旅行にでかけたのは大学2年生のときで、行き先はアラスカ、目標がオーロラでした。お天気に恵まれて、オーロラは見えましたが、月の明るい時期に行ったのは失敗だったなあ。
1991年にアラスカ・フェアバンクス郊外で、フィルムカメラで撮った写真を、スキャンしたものです。
2016年に南極・昭和基地でデジカメで撮った写真とはだいぶ違います。
が、現地で見上げるオーロラの感動は変わらないです。