書評「南極ではたらく かあちゃん、調理隊員になる」
2月1日、昭和基地では越冬交代の日です。1年間の越冬生活がおわり、次の隊の越冬が始まります。今年は、59次隊と60次隊の”代替わり”になります。
そんなタイミングで、一緒に越冬生活を送ってきた渡貫さんのご著書をいただきました。
一緒に越冬した私には、本の中で紹介されている南極でのエピソードの多くは、ああ、あのことね、と思い当たるところがあり、微苦笑してしまいました。
なかでも、南極観測隊員の「喧嘩」について語られたのは初めてではなかろうか?
調理と観測とお互いの仕事のプライドをぶつけ合う、といえばカッコいいですが、少人数、閉鎖空間の基地の中では、やめといたほうがいいことではありますね。「他の隊員は傍観していた」って、そりゃあんな修羅場に突っ込んでいく元気はないですわ。
渡貫さんが参加されていた57次越冬隊では、男性が25人、女性が5人。もう、女性が皆無の隊も考えにくいですが、圧倒的少数ではあります。「肩を組んだりしない」など女性としての気遣いも書かれていて、気づいていたこともあり、はじめて知った、ということもあり。
ただ、本の帯のコピー「平凡な主婦の料理と生き方を変えた!」ってのは???ですな。平凡な主婦には30人、3食、365日休み無し、料理人2人の食堂を切り盛りできないでしょ。
昭和基地で渡貫さんともうひとりの料理人の美味しいご飯を堪能してきました(感謝)。南極では、隊長よりも調理隊員のほうが大事。美味しいご飯があればなんとかなる!
「面白南極料理人」第3回
なぜかしら、ちょっとづつ面白くなってきたような気がします。
期待値がドラマの出来に合ってきたのかもしれません。
お誕生日の話がありましたね。誕生日の人はその日はなんにもしなくていい、ということになっていましたが、私が昭和基地に滞在したときは、そんなことはなく、普通に仕事していました。
ただ、月に一回、お誕生会を兼ねたイベント+宴会がありました。調理担当隊員の腕の見せどころでもあります。
このイベントのときに、誕生日の人はケーキを頂戴します。
私は9月、秋の味覚、りんごのタルトタタンでした。貴重なりんごをたっぷり使った贅沢な一品。
私が昭和基地で越冬したときは、調理隊員が2人いたので、素人がごちそうを作ろうとして四苦八苦なんてことはなかったのです。
日々単調になりやすい南極の暮らしでは、時々イベントを設けて楽しく騒ぐのも大事です。もちろん、ハメを外しすぎないように…。
「面白南極料理人」第2回
第2回終わりましたが、頑なに屋外に出ませんなあ。大人の事情でしょうかね・・・。
バレンタインデーの話でもしますか。
越冬隊に参加すると、2回、極地で2月14日を迎えることができます。
1回目は、夏の間だけ昭和基地にいた仲間がみんな、南極観測船「しらせ」に帰っていく頃。
私が参加した57次隊には、女性隊員が5人もいらっしゃいまして、チョコレートをお恵みいただきました。越冬が始まって、ちゃんと淹れたコーヒーが飲めるようになって、嬉しかったのを覚えています。
2回目は、帰り便の「しらせ」の船上です。
自衛隊員と仕事の終わった観測隊員のかたがたの弾け具合が…で、自粛してたのです。
こっちのほうが、ドラマの舞台、ドームふじのイベントに似ているか?そうでもないか。
「面白南極料理人」第1回
まず、基地に到着したみなさん、初々しくて、防寒着がキレイだねえ。ってそんなわけあるかい!
ドームふじ基地は、3週間くらい雪上車で移動してやっと到着できるところです。風呂なしシャワーなしの旅をして、到着した頃はもう少し渋みの増した顔になってます。たぶん。
16日間、南極大陸を雪上車で旅したときの記事がこちらです。
そのほか、無線機をぶら下げて外出するのはないよなあとか、細かいところが気になってしまいます。(寒さでバッテリがダメになるので、本体は防寒着の中に入れて、マイクだけ外にだすのがお約束)
でも、美味しそう、かつカロリー高そうなごはんはガチですな。あのパエリャは作ってみたい気がする。 皮なしシュウマイ「楊貴妃の涙」が登場するかどうか、楽しみです。
まあ、深夜ドラマを録画してシラフで見るほうが間違っているのかもしれません。次回はいっぱい呑みながら、生暖かくながめてみますかね。
日食を見ました
1月6日の朝、部分日食が見られました。大学の先生と研究の打ち合わせに行ったので、一番深くかけたところは見えなかったのですが、それでも30%くらい欠けたところを撮影できました。
2003年11月には昭和基地で皆既日食が起こりました。このときにはNHKのスタッフが越冬隊に加わって、撮影・収録しています。
空が暗くなると、ペンギンが鳴きはじめたそうです。極地では日の昇らない極夜や沈まない白夜がありますが、太陽の動く向きと地平線の角度が小さいので、夕焼けから夜になるまでの時間が長いのです。突然暗くなる、というのは、ペンギンたちには初めての経験で、彼ら/彼女らにとっては恐怖なのかもしれません。
今年は12月26日にも、日本国内で部分日食が見られます。年に2回、というのは珍しいらしい。今度は夕方、太陽が欠けたまま沈んでいきます。