世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

講演「南極の食とくらし~食品ロス削減に向けた講演会~」を聴いてきました

一緒に南極で冬を越した調理担当の渡貫女史が3月9日(土)に練馬区役所で講演する、との情報を街角の掲示板で見て、申し込んでみました。

講座・イベントのご案内|練馬区立リサイクルセンター

 

渡貫さん、本を出したほか、ラジオに出たりしてご多忙の様子。 

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申し込んだ時点で満席でキャンセル待ちになっていましたが、前日に繰り上げ当選の連絡が入りました。

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満席のため予約のない方は入場できません

前夜に「行くよ」と講師にメールでお知らせしたら「質疑応答でオーロラや気象のことを聞かれたらよろしく」とお返事。まさかねえ、と思ってたら、ほんとにありました、オーロラの質問。

で、ほんとに私のところにマイク回ってきました(笑)。

  

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無駄にして捨てる食品を減らすためのパネル展もありました

 今回の講演は”食品ロス削減に向けた講演会”ということで、いかに無駄なく食糧を使うか、というお話が多くありました。「そうか、あのカレーにはそんなものも入っていたのか!」と驚くこともあり…すべての食材はカレーに通ず。

 

 

「面白南極料理人」第8回

仕事が忙しくてブログをupする余裕がなく、気がつけば土曜日。

ほんとに忙しかったんです。呆れ返ってなんにも書けないっていうわけでは…。www.tv-osaka.co.jp

おネエチャンを出すならちゃんと脚本を練ってほしい。単に並べといて、夢オチでした、じゃあねえ。

 

さて、たしかに南極では「水は命」です。雪はいくらでもありますが、水にするのは大変。

昭和基地では、発電機のエンジンの熱で雪を溶かして水にしています。ドラマの舞台のドームふじでも同じです。大陸を旅するときには、雪を蓋付きのバケツに入れて、雪上車の内に入れて水にします。

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南極大陸を旅する雪上車。地球上の淡水の6割がこの大陸にあるのですが。

たくさん雪をとっても水にするとほんのちょっと。なので、旅行中はお風呂には入らない。介護用の清拭タオルなどで体を拭いて、ときどき下着を交換して、でしのぎます。

南極は寒いから、汗かかないんじゃない?と思われる方もいるでしょうが、車内は暖房がきいていて、暖かいのです。でも、空気が乾燥しているので、ベタついた嫌な感じはあまりないですね。

 

eテレ「又吉直樹のヘウレーカ!」

さて、再放送もすんだことですし、語りましょうか。

www4.nhk.or.jp

一年あまりともに過ごした57次隊越冬隊長を見て、あんまり変わっていないなあ、と感心したり。48次隊の往復ともに南極に運んでもらった先代の「しらせ」の船内がとても懐かしかったり、ごく個人的な見どころはたくさんあったのですが、膝を叩いて納得したのは、

 基地の内部にいて、ある人はisolation(閉じ込める隔離)を、
 またある人はinsulation(保護する隔離)を感じる。

というところ。

 これは、基地の外は「日本」か、「南極」かという意識の違いよるんじゃないかと思います。つまり、

 日本から切り離されて昭和基地に居る

 南極の中の昭和基地というシェルターに居る

 どちらと思うか?

 

 私は、ずーっと後者でした。ブリザードに閉じ込められた夜、南極は、人が住めるところではないのだなあと実感しました。 

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  基地の外は日本だ、と思うと、isolation(閉じ込める隔離)だと感じてしまうんでしょう。どっちがよい、というものでもなく、人それぞれの感じ方です。

 

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8月、満月の下の昭和基地です

 

「やっぱりNHKはいいわぁ」

いいですねえ、NHK。いや、特定のTV番組と比べているわけではないですよ。

www4.nhk.or.jp

 

前回私が参加した57次隊の越冬隊長が登場し、

前々回私が参加した48次隊で乗った先代の「しらせ」が登場し、

大変に満足です。

 

28日24時30分から(3月1日0時30分から)、深夜の再放送があるのでネタバレは避けますが、おすすめですよ。

 

「面白南極料理人」第7回

 このドラマ、ご飯のシーンが楽しみなんですが、南極経験者としては、とっても気になることがあるのですよ。

 

それは、おかずに緑の野菜があること。レタスか、サラダ菜か、と思われる葉っぱがお皿に乗っていて、ありえないよなあ、と思ってしまうのです。

前回、第6回ではお好み焼きをつくっていましたが、6月のミッドウィンターの後にまで保存したキャベツをそんな、お好み焼きで消費し尽くすなんて、ありえねえ。

これは、野菜がふんだんにある別の世界の南極のお話なんだ、と思っていたのですが、今回はもやし栽培が出てきました。

 

www.tv-osaka.co.jp

 

昭和基地でも、もやしを栽培していました。 

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豆のカラを取っています。ひげ根をむしるのは勘弁してもらいました。

おひたしやナムルにして食感を楽しみました。ラーメンに入れたい、という声もありましたが、相当な量を一気に作らないといけないので、越冬中に1回、実現させただけです。

 

今の昭和基地には、「野菜工場」があります。

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環境保護の関係で土は持ち込めないので、水耕栽培です。

サラダ菜などの葉物は作れますが、芋やにんじんなど根菜は無理。

シソも立派に育つのですが、なぜか香りが薄い。水と肥料だけだと、ミネラルか何か足りないのかなあ。 

 

さて、「面白南極料理人」は次号予告を見てもドラマだか妄想だか、わけわかんなくなっていますが、2月27日の夜(再放送は28日の深夜)、地上波・NHKでガチのドキュメンタリーが放送されます。

www4.nhk.or.jp

私が参加した57次隊の越冬隊長が出演されるとのこと。録画予約を入れました。