月をめざす橇(そり)?
google alartで、新しい南極の建物のニュースが入ってきました。「南極移動基地ユニット」の実証実験を昭和基地でやるそうです。
・この秋出発する61次隊で南極に運ぶ。
・昭和基地で冬を越して、試験する。
・うまく行ったら、雪上車で牽引してドームふじにもっていく。
ということです。
長さ6メートル、幅2.5メートル、高さ3メートルくらい。
プレスリリースの写真を見ると、大型雪上車とあまり大きさは変わらない感じです。
私が南極大陸に行ったときも、似たような大きさの「機械モジュール」と呼ばれる小屋を牽引していきましたが、ろくな暖房もなく、中は極寒のきびしいものです。
雪上車のすぐ後ろの白いのが機械モジュール
今回のユニットは太陽電池も着いていて、快適とは言わないまでも、だいぶ過ごしやすくなっているんじゃないでしょうか。
それにしても、
JAXAとミサワホーム及びミサワ総研は、地上における未来志向の住宅や、月面等の有人拠点への応用を目指して共同研究を進めてきましたが、
と、サラッとプレスリリースに出ているのを見ると、本気で月に住むための研究開発をしている人がいるんだ、とたのしくなりますね。
出発までに、どこかで見られたらいいなあ。
村上祐資さんの「都会のイグルー」
第50次隊に参加されていた村上祐資さん、火星基地居住実験に参加されるなど昭和基地から宇宙を目指しているお方です。私は昭和基地にいるときに彼がパーソナリティを務めるラジオに出させてもらったり、
先月には「SIRASE」船内でお目にかかったりしたのですが、
これまでゆっくりお話を伺う機会はありませんでした。
7月28日、私のうちから自転車で10分そこそこのところにある小学校で講演されるとの情報を得て、行ってまいりました。
朝10時から子どもたちが高校生の助けをえて「都会のイグルー」を作り、完成後15時から講演、との予定でした。
練馬のアメダスでは33度を超えていました。暑くて大変だろうなあと思っていたのですが、このアリーナには冷房が効いていました。
アリーナのドアを開けたら正面にドームが現れました。完成間近か?と思いきや、一時間くらい開始が遅れそうとのこと。
この型でプラダンボール板を切り抜いて、パーツをつくって組んでいきます。
今回のパーツは5種類だそうです。
壁のうえに、ドームを載せていきます。
講演では、極地よりも2015年のネパールでの地震のあとのイグルー作りと火星ミッションの話のほうが多かったです。スライドを多用せずに、一枚の写真でじっくり語るスタイルには感心しました。自分は、紙芝居のようにたくさんのスライドを作ってしまいがちです。もちろん、村上さんのほうが講演の経験も格段に多いでしょうから、まねするようなものではないのですが。
私が参加した57次隊(2015-2017年)では村上さんから提供されたパーツを積んでいって、現地で組み立てました。
このときは壁はつくらず、色は白一色でした。この日に見たのは青白の2色ですが、やっぱりちょっとカラフルな方がいいですね。ネパールの人たちはカラフルなものがお好きだそうで、さらに色数が多くて楽しそうでした。
第61次日本南極地域観測隊「隊員室開き」
例年7月1日に「隊員室」が設置され、出発まで5ヶ月間あまり、ものを買ったり梱包したり船に運んだり、といった準備と、さまざまな訓練をしていきます。
7月5日(金)、極地研究所にて 、この秋に出発する第61次日本南極地域観測隊の「隊員室開き」が開催されました。
南極観測隊員OBにとっては、新隊員の門出を祝うとともに、かつて同じ釜の飯を食った同期の隊員と再会できるのも楽しみです。
61次隊のお披露目です。とくにはじめて観測隊に参加する人は、ワクワク感がMAXの時期でしょう。
隊員室開きでは、バーベキューなどの軽食も供されます。調理隊員の初仕事ですが、隊員室に出勤しはじめて数日しか準備期間がないのでたいへんです。
今年は「舟盛り」が登場。
西荻窪の居酒屋「じんから」の大将が調理隊員になったので、ちょっと期待はしていたのですが、さすがです。
なお、お店は大将越冬中も続けると伺いました。
「南極で観測隊員として働くために何が必要だと思いますか?」小学生にきいてみた
6月22日の土曜日に、杉並区立沓掛小学校で南極の仕事についてお話しをしてきました。一昨年も「お仕事見本市」(リンク先はpdfファイルです)でお話をしてきました。昨年もお声掛けを頂いたのですが、先約があって伺えませんでした。2年ぶりの参加です。
アナウンサー、警察官、社会保険労務士など13の職業のお話があって、6年生の児童が8人くらいずつ、2つの職業の話を聞くようになっています(講師は2コマ、同じお話をします)。
南極観測隊は人気だったそうで、聞きたかったけどハズレちゃいました、というこどもたちもかなりいたとのこと。当日は土曜日の公開授業でもあり、大人の聴講者もちらほらいらっしゃいました。
事前の配布資料にはこんなクイズを出してみました。越冬隊員30人の内訳です。どんな基準で分けたのでしょうか?(答えはこの記事の最後に)
こどもたちに「南極で観測隊員として働くために何が必要だと思いますか?」
と問いかけてみたところ。
「閉じ込められても大丈夫な精神的な強さ」
「みんなと仲良くできる協調性」
といった答えが多くありました。
私からは、それはもちろん大事だけど、絶対必要なことは
「健康であること」「自分の仕事をキッチリできるプロであること」
と伝えました。
南極観測隊員でいるのは2年くらい、南極にいるのは1年と数ヶ月。"職業"として目指すというものではありません。でも、南極に行っても大丈夫なプロになることを小学校6年生に意識してもらうことができたら、いいな、と思いました。
クイズの答え
その1:年齢構成 4人=20代, 13人=30代, 9人=40代,4人=50代
その2:観測する人=12人,基地を支える人(電気、車両、医療、調理など)=17人
その3:男性と女性