世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

インホブデ・散策編 眼前の氷河

1月4日にでかけた、インホブデのつづきのおはなしです。仕事が終わったあと、お迎えのヘリが来るまで散歩する時間がありました。


眼前に氷河の端がそそり立ちます。 f:id:nankyoku_30nin:20160106040911j:plain

大晦日に行ったスカーレンのほうが氷河の規模は大きかったのですが、近くから見たこちらのほうが迫力は上です。

 

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わたしの好きな紀行作家の宮脇俊三氏が、オホーツク海の流氷を、景色を超越した"超景色"と評していました。南極の氷河の眺めは、まさに超景色の名に値します。

インホブデは南極大陸の海辺に少しだけ顔を出した岩場なので、あまり歩きまわる場所もないだろうと言われていました。安全を確保するため、雪の上を歩いたりしないようにと指示されていましたが、岩場を散策するだけでも大満足。


雪解け水が池を作っていました。

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日帰りのメンテナンスにでかけるときには、時間にじゅうぶん余裕を持ったスケジュールを組みます。現地でおもわぬトラブルに出くわすことが多いですし、むしろ計画通りスムーズに運ぶほうが珍しいのです。うまくいかないからといって、もう一回出直すのは簡単ではありません。なので、たいていのオペレーションでは時間が余ります。(ものすごく言い訳くさいですが、ほんとうです。)

追い立てられるような夏の日々ですが、無人磁力計のメンテナンスを成功裏に終えたことと併せて、良い一日でした。