世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

南極行きにむけて【署名・捺印編】(代理人投稿)

南極とメールがつながる時代となりましたが、ものを運ぶのはしらせのみ。日本からのお手紙は次のしらせにお願いするしかありません。お願いしたとして、届くのは順調に行けば今年の12月です。

 

要件はメールですませるとして、署名・捺印が必要な書類はどうしよう?という事態に陥りました。困ったと嘆いても仕方ない。署名・捺印が必要な書類はなにか?と片っ端から考えてみました。

契約書・申請書・届出書などいっぱいありました。不動産の賃貸契約は不動産会社へ、税務関係は税務署へ、お金関係は金融機関へ、保険関係は保険会社へ、携帯電話関係は携帯電話会社へ、とそれぞれ相手先に問い合わせをしました。相手先が必要と判断したものに関しては、出発前に署名・捺印をした文書を作成し提出しました。

例えば税務署へは所得税・消費税の納税管理人の届出書を提出しました。携帯電話の解約はこれからですが、委任状を出発前に作成しました。

 

究極の話ですが「代理人が死んだら、生命保険金が支払われない!」ということに気がつきました。死亡受取人がご本人で契約したので、ご本人が署名・捺印をしない限り生命保険金が支払われないというカラクリです。それだと周囲に迷惑をかけるので、死亡受取人を血族に変更しました。

 

南極行きで自分の死を考えるなんて、驚きの展開でした。

宇宙飛行士の向井千秋さんが第50次日本南極地域観測隊村上祐資さんに言った「宇宙より南極のほうが遠いからね」という言葉が心に響きました。

toyokeizai.net

 

でも、これが南極・越冬なのですね。だからこそ、夢憧れるなにかがあるのでしょうね。

 

いやぁ、署名・捺印は侮れません。