世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

「アンテナ島」に上陸しました

2月23日にも強風のため外出注意令が出ました。2月に入って6回目(!)です。

風がやんだら、どこか壊れていないか点検にいかないといけません。24日にアンテナ島での点検のお手伝いに行ってきました。

アンテナ島は、昭和基地の東オングル島のすぐ近くにある、ごくちいさな島です。

"夢の架け橋"という洒落た名前の橋が架かっていますが、これはケーブルを通すためのもので、人間は渡れません。

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点検に行くには、東オングル島からアンテナ島へ、氷の上を歩いてわたることになります。昭和基地に来てすぐに教わったように、 

nankyoku-30nin.hatenablog.com

 重いゾンデ棒で海氷を突きながら海を渡ります。

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海氷の上を一人で行動することは許されないので、通信担当の隊員についていって、初めてこの島に上陸できました。

 

基地の主要部から300メートルくらいのところにアンテナがたくさん立っています。

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昭和基地の通信電波は、直接日本にまで届くパワーがあります。その出力は最大2キロワットだそうです。例えば、東京の近辺では、長野、甲府、福島のNHKラジオ第二放送の送信パワーが1キロワットですから、昭和基地の出力はその2倍です。こんなに強い電波を基地の主要部から出すと、観測機器などいろんなところに迷惑がかかるかもしれません。