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世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年2月1日に次の隊と交代。3月23日に帰国しました。

オーロラの楽しみ方を考える

10月2日の夜から吹雪になっています。そんな中ですが、4日の夜、いちばん光に敏感なオーロラ観測装置のスケジュールが終わりになりました。昭和基地では、もう真っ暗にはならない、ということです。

 

今年はお天気が悪くて、観測できる夜も少なかったのですが、9月に入ってから晴れて活発に出現する夜があったので、57次隊員はオーロラシーズンを満足感をもって終えることができたように思います。

同じオーロラは二度と出ません。が、では昨晩のオーロラとどう違うのよ、と言われると困ってしまいます。オリジナリティを出すために、例えば基地の建物や雪上車を前景にして、その上にオーロラが来るのを待つ隊員もいました。ただ、観測の夜勤中には職場の近くにいるので、私の写真は景色はあまりかわりばえしないものが多いです。

ときどき赤色や紫色のオーロラが見えて、話題になりました。私自身は、珍しいから撮れるとうれしい、という気分は薄いです。目で見たものと写真は大きく異るものですし、デジカメの機種や設定によって画像の雰囲気もだいぶ違います。

いいオーロラを捕まえるには、例えば10秒ごとにシャッターを切るようにカメラをセットしておいて、いい写真を選び出すほうがよいのかもしれません。でもわたしは、たとえベストのものを撮り逃がしても、自分の目で見て、いいな、と思ったときにシャッターを切るほうが楽しかったです。

私にとって、オーロラを見るいちばんの楽しみは、その動きでした。ゆっくりとただようように動くことも、まさにカーテンがひるがえるように動くときも、さーっと波が伝わるように動くこともありました。天球の端から端まで、音もなく走っていくオーロラを見ると、なにか現実離れしているような気さえします。この動きを動画で詳細に記録することは、難しいです。今回、4K動画を撮れるカメラも使ってみましたが、感度を上げると画面がざらついて今ひとつでした。さらに、天球に見えるイメージを再現するには、プラネタリウムで上映するしかないかな。なかなかに現実的ではないですね。

THETAの360度画像は、いろんな方向を見渡すオーロラ見物のイメージにかなり近いと思います。最後の晴れた夜勤になった、9月29日の夜の360度画像です。

Aurora at dusk on September 29, 2016, at Syowa station, Antarctica. - Spherical Image - RICOH THETA

北半球では、これからがオーロラの季節になります。もしも活発なオーロラを見る機会があったら、マットを敷いて仰向けになって眺めるのをおすすめします。デジカメなどの撮影機材は日進月歩で、良い写真がたくさん撮影されていますが、動くオーロラを見上げる体験は、まだまだ再現できないと思います。