世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

空を見上げて

連休明けの7日に、青森で「日暈(ひがさ)」が見えた、というニュースがありました。

mainichi.jp

南極では、日暈は珍しいものではありません。昭和基地で2回、南極大陸で1回、帰りの船の上で1回、見た記事を書いています。

 

昭和基地で見た、いちばん見事だったのはこれ。 

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nankyoku-30nin.hatenablog.com

 環天頂アーク、タンジェントアーク、幻日など、いろんな光学現象が見えた日です。青森で見えたという「環水平アーク」は、太陽の下に見えるものなので、南極では太陽高度が足りなくて見えませんでした。

 

南極大陸で撮った日暈の写真は、極地研究振興会の2018年カレンダーに採用していただきました。 

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船の上で見たときは、クジラが周囲を泳いでいたので、みんな空にはあまり関心がなかったような。

nankyoku-30nin.hatenablog.com

 

これらの光学現象は、雲を形成する氷の粒に太陽の光があたって、光の進路が折れ曲がって、作られるものだそうです。

南極は寒いから、低い雲でも雲中は水ではなく氷になっているので、発生しやすいのでしょうか。それと、空を見上げることが多いから、気づきやすいのかもしれません。基地にいたら気づいた人が無線で「日暈(ひがさ)が見えるよ!」と教えてくれますし。

逆に、この日青森市にいても、見逃した人もいるかもしれませんね。

ときどきは、空を見上げてみましょうか。