世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

訓練:ミリ波分光観測

長野、北海道の次は名古屋です。8月10日から12日間の二泊三日で、名古屋大学太陽地球環境研究所で「ミリ波分光観測」の訓練を受けてきました。

酸素や窒素、二酸化炭素といった分子はそれぞれ特有の電波を出しています。このうち
ミリ波」と呼ばれる波長数ミリメートルの電波を捕まえて、高さ15kmから70 kmくらいにあるオゾンや、オゾンを破壊する窒素化合物を観測しようというものです。

ターゲットとなる電波がとても弱いので、観測装置から出てくる雑音がじゃまになります。そのため、「冷やす」ことがポイントになります。

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中央の茶色の箱の部分を、マイナス263度(=5K) まで冷やす必要があります。

 

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こんな極低温まで冷やすには空気がじゃまなので、真空ポンプ(写真の手前、赤い機械)で装置の周りの空気を分子レベルで抜いてやる必要があります。

デリケートな機械で、「こうしたら壊れます」という説明が多くて、緊張します。

 

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もしものときのために、自分でケーブルを作る訓練も受けました。