世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

極地研究所のコンピュータで仕事する

風雪が強くなって、15日は朝起きたら外出禁止になっていました。

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職場に行けないので、自室のパソコンでデータ解析をしていますが、ちょっと大きなデータを扱おうとすると、パソコンでは時間がかかりすぎます。こんなときは、立川市の極地研究所のコンピュータにアクセスして計算させることができます。

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ただし、国内への通信は衛星回線を使っているので、データのやり取りに時間がかかります。たとえば、このパソコンで”a”とタイプすると、”a”って入力したよ、という情報が昭和基地から極地研にとどくまでに0.5秒、極地研の計算機で表示された”a”を昭和基地で見るまでに0.5秒かかります。つまり、何か文字を打ち込んで、その文字が画面に出てくるのは約1秒後です。タイプミスして、打ちなおして、なんてやってると、たいへんにじれったいです。

昭和基地の計算機でプログラムを作って、テストして、動くようになったものを極地研の計算機にコピーして実行させます。それでもパソコンよりずっと早く計算できます。

 

-ここからは理系の人向け-

こういう環境ですので、X-windowなどGUI(Graphical User Interface)は無し。すべて文字入力で動かして、計算結果を昭和基地側にコピーして検討します。極地研の計算機の操作にはクラシカルなエディタviを使っています。20年以上前に気象庁でviを使わせられて閉口したものですが、ここで役に立つとはおもいませんでしたね。