世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

「しらせ」昭和基地に接岸

南極観測船「しらせ」は基地から10キロメートルあまり離れたところに停泊していました。風向きや昭和基地までの距離などがヘリコプターの飛行に都合の良いところに停めていた、ということらしいです。

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この写真は26日、インホブデからの帰りに上空から撮影したものです。

 

nankyoku-30nin.hatenablog.com

 

急いで運ぶものの空輸が一段落して、「しらせ」が昭和基地に向けて動き始めました。

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28日のお昼前に昭和基地に接岸しました。基地の主要部から、ディーゼルエンジンの黒煙が見えました。

 

夕食後、レーダー観測施設の点検のために歩いていて、船の全景を見ることができました。大型物資輸送のためのクレーンが動き出しているようです。うしろに見えるのが南極大陸です。

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"接岸"といっても、昭和基地に岸壁はないので、基地からすぐに乗船できるわけではありません。「しらせ」が積んできた燃料をホースで基地に送り込める程度(だいたい1キロメートル以内、今年は560メートル)に接近できたら、接岸と発表されます。

今年は海氷が薄くてスムーズに到着できましたが、氷を割ることができず、接岸を断念する年もあります。こんなときは燃料をドラム缶に詰め替えて空輸したり、氷上を運ぶ予定だった大型の資材の送り込みを諦めたり、大変なことになります。

「しらせ」接岸は、日本の南極観測にとって一番うれしいニュースのひとつです。