世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

奈良に行ってきました

6月17,18日に、奈良に行って、国際大気電気会議に参加してきました。

私の研究に関する発表が月曜日に組まれたので、1日だけ仕事をお休みして出かけることができました。

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「大気電気」というのは、雷を含む、文字通り大気中の電気に関わることです。研究している人は日本国内でもそんなに多くはない。私の専門分野に近い人はさらに少なく、せいぜい20人くらいか、もっと少ない?

ですから、 世界中からエキスパートが日本に集まってくれるこの機会は大変貴重です。

 

私の研究発表は、南極のブリザードのさなかに観測された電場の変動について、です。晴れていて静かなときにも、高さ方向に1メートルあたり100から150ボルトくらいの電圧がかかっています(電流が流れないので感電はしません)が、吹雪のときにはその10倍くらいの電圧が発生します。

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雪粒同士が擦れあってできるまさつ電気のせいでしょう、と言われていたのですが、それだけではうまく説明できない。私は雪粒の持つ電気をモデル計算して、どういう状況ならこんなに大きな電場が発生するかを考えているところです。

 

で、それはなんの役に立つの?とよく言われるのですが、例えば、火星。

火星で大規模なダストストームが発生中 - アストロアーツ

火星は寒くて空気が薄いので、入道雲が発生することはないのですが、砂嵐の中では雷が発生しているのではないか?と言われています。

火星に人が行く時代になったら、砂嵐のときに周囲の電気的な環境がどうなっているか、はとっても大事なことのひとつです。

 映画「オデッセイ」でも砂嵐に飲み込まれるシーンがありましたが、雷は鳴っていたかなあ?

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