世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

「しらせ」が運ぶ荷物について

さて、大晦日ですが、昭和基地では真夏の沈まぬ太陽のもとで、みんな必死に仕事をしているはず。元日だけがお休みです。

でも、ここを見ると29日は風も強く、雪も降っていたようで、ブリザードになったのかも。 どうかご安全に。

 

 さて、前回、12月27日の記事で、この円グラフをお見せしました。

3年前、「しらせ」が運んでいった物資(合計1126トン)の内訳ですが、「設営」とか、「野外」とか、わからないよね、と気づいたので補足します。f:id:nankyoku_30nin:20181227062953p:plain

 

「設営」とは、医療、環境保全、車両、建築など南極観測隊の生活を支える仕事全般を指します。「観測」に対応する部門ですね。

なので、設営関係の物資は、プレハブ建築の部材、足場の材料、そしてクレーン車など大きなものがたくさん入ってきます。

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2017年1月、「基本観測棟」の工事現場

 

nankyoku-30nin.hatenablog.com

 

南極を汚さないために必要なもの、ごみや廃水を処理するために必要な機械や消耗品も設営物資に含まれます。

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焼却炉でのごみ処理です。焼いたあとの灰は日本に持ち帰ります。

 nankyoku-30nin.hatenablog.com

 

 

「野外」の物資は、テント、寝袋、炊事道具など基地から離れたところで使うモノ。量は多くないですが、とくに夏の観測には絶対欠かせないものです。

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2016年1月、南極大陸での観測装置メンテナンス作業。急な天候悪化に備えて、まずテントを張ってから作業開始です。

 

nankyoku-30nin.hatenablog.com

 

 

講演すると「水は持っていかないんですか?」という質問を受けますが、基地では雪を溶かして、きれいにして飲み水にするので、持っていかなくても大丈夫。

 

では、みなさん良いお年を!