世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年2月1日に次の隊と交代。3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

【書評】女房が宇宙を飛んだ 向井万起男著 【代理人投稿】

8月27日(土)になりました。

昨夜からメールが気になって仕方なかった代理人です。

しかし、ご本人からメールはありません。

荒天で帰りが延期になったのでしょう、きっと。

予備日を5日間設けているそうですし。

そのうち帰ってくるんじゃないの、そう思うことにしましょう(南極って、そう思うことにすることが多すぎるような気がする・・・)。

 

本日は南極(それともご本人!?)を想いながら読んだ本のご紹介です。

 

第57次日本南極地域観測隊の越冬隊は30人で編成されています。

現在、たった30人で南極・昭和基地で暮らしています。

(うち8人は南極大陸へ行って、まだ帰ってこないけど)

越冬隊の30人のご家族は、来年の帰国を遠く離れた日本で待っています。

日本で代理人と同じ境遇なのは、30人のご家族。

そのご家族が何を思い何を考え暮らしているのか、インタビューしてみたいとずっと思っていて、その機会を楽しみにしていたのですが、のっぴきならない事情(?)で家族懇談会に行けなかった代理人。

 

じゃぁ、誰に聞けばいいんだ?

どうやったら、知ることができるのだ?

 

南極に一番近い環境って・・・って考えたら、思い浮かんだのは宇宙。

宇宙飛行士のご家族の本がありました。

ということで読んでみました。

「女房が宇宙を飛んだ」向井万起男

books.google.co.jp

知的でユニークで自立したご夫婦だなぁと思いました。

お二人ともお医者さんですしね。

代理人とは雲泥の差でございます。

それはさておき、待ち人という視点で読んでみると、代理人の気持ちを代弁してくれた本、その一言につきるのです。

 

出発前に代理人は、出発の日(昨年の12月2日)に成田空港で、泣いてしまうよぅ。どうしよう・・・、と思っていました。

実際は泣くことはなく「じゃあね~」とあっけらかんとしていたのでした。

どうしてだろう?なぜだろう?と不思議だったのですが、この本に答えが書いてありました。

 

「あぁ!そうだったんだ、宇宙飛行って、打ち上げが大事なわけじゃないんだ、本当に大事なのは、これからなんだ」

 

これからが勝負で泣けなかったのですね。

これからが長すぎて(だって来年3月まで続くもん)めげちゃいそうだけど。めげても、逃げることはできないけど。

 

向井万起男さんがよけいな心配をしていることが多々書いてあり、代理人と同じ!同じ!!と妙に安心をもらったのでした。

 

向井千秋さんが宇宙飛行体験をして心から感動したのは、地球に帰って来て、地球の重力と再遭遇したとき、地球には重力があるんだって体で知ったこと、だったそうです。

それを知ったとき向井万紀男さんは無力感を感じたそうです。

 

「女房は宇宙旅行をしたが私はしていない」

 

きっと帰国してご本人の話を聞いたら、代理人も同じことを感じるのだろうなぁ、と未来を感じた本でもありました。