世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

南極の写真で日本の夏を思う

31日が締め切りの、今週のお題特別編「はてなブログ フォトコンテスト 2016夏」に応募してみましょう。 といっても、"2016夏"らしい写真なんてあったかしら、とあらためて探してみました。 8月12日付の記事で紹介したペルセウス座流星群です。 ためしにモノ…

旅行での生活

今回の大陸旅行では、作業場所から1キロメートルほど離れた、S17航空拠点に泊まりました。ここには発電機と台所のある建物があって、8人の参加者のうち、わたしを含め5人が床にマットを敷いて寝袋で、あと3人が雪上車の中で寝ることになっていました。 …

南極大陸から雪上車とそりを回送する

今回の大陸行の主な目的は、S16という拠点にあるそりと雪上車を昭和基地に持ち帰ることでした。S16は昭和基地から20キロメートルほど離れた大陸にあって、標高は約600メートル。東京の高尾山と同じくらいの高さにあります。 建物も何もない、真っ白な平地に…

南極大陸の夜

荒天のため、日程が一日延長になりましたが、みなもとは、27日夕方に昭和基地に戻ってきました。6泊7日の旅でした。 8月21日に昭和基地から30キロメートルを移動しました。宿泊地到着が遅くなった上に、建物の入り口にびっちりついた雪を落とすのに苦労し…

【書評】女房が宇宙を飛んだ 向井万起男著 【代理人投稿】

8月27日(土)になりました。 昨夜からメールが気になって仕方なかった代理人です。 しかし、ご本人からメールはありません。 荒天で帰りが延期になったのでしょう、きっと。 予備日を5日間設けているそうですし。 そのうち帰ってくるんじゃないの、そう思うこ…

小堺一機さんのお父上 (代理人更新)

本日は8月26日(金)。 順調にいけば、ご本人が昭和基地に帰ってくる日です。 天候不順にあえば、帰ってきません。 果たして、どっちなんだろう? と空を見上げる代理人。 日本の空をみても南極大陸の天気なんてわからないのに・・・。 日本と南極は直線距離で…

旅行出発記念!?ご本人へ30の質問 後編 【代理人投稿】

本日はインタビュー最終回でございます。 さぁ、はりきって(!?)いってみましょう。 Q21.残りの越冬生活が半年を切りましたが、どんなお気持ちですか? A21.しらせが来るまで、120日くらい・・・準備急がなきゃ。 越冬の残り 160日くらい・・・まだまだが…

家族懇談会 IN 極地研究所【代理人投稿】

8月21日(日)、立川の極地研究所に隊員の家族が集まって昭和基地の隊員と交流する「家族懇談会」が開催されました。 代理人、めっちゃ楽しみにしていたのですが・・・、実は・・・、なんと!?といいますか・・・、手足口病に感染しちゃいまして、泣く泣く懇…

旅行出発記念!?ご本人へ30の質問 中編 【代理人投稿】

昨日の日本は台風9号にドキドキした一日でしたね。 こんな張り紙みつけちゃいましたよ。 ご本人のいる場所のお天気は?と思ってはみたものの、南極大陸の天気予報なんて知る術はなく(ググってみたら出てきたけれど、ざっくりすぎてようわからん)、昭和基地を…

旅行出発記念!?ご本人へ30の質問 前編 【代理人投稿】

どーも、留守を預かりました代理人です。 ご本人は、日本で言うと夏の終わり、南極で言うと春の訪れ(?)に旅行に出発したようですね。 夏の終わりを代表して一句。 うんざりだ もう 夏休み はよ終われ 毒は吐かないと。はぁ、すっきり。 さて、出発前にご本…

旅に出ます

日本では夏休みもそろそろ終盤でしょうか。 わたしは今日、21日から旅に出ます。行き先は、南極大陸。 海岸から20キロメートルほど内陸に入ったところで、無人の気象観測装置の保守点検を手伝ったあと、置いてあるそりと雪上車を昭和基地をもち帰ります…

月下の氷山

20日の午前1時過ぎ、満月を1日過ぎた月夜です。 海氷が月光に光っていました。 お月さまの反対側の空です。かすかに星が写っています。月は太陽の光をそのまま反射しているので、露出時間を伸ばせば昼間と同じような写真を撮ることができます。この写真は…

雪上車で除雪

昭和基地の除雪とは、雪を基地運営に支障のないところに移動させること。 雪上車やブルドーザーが、建物から人力で落としたり、吹きだまりになった雪を押していきます。 18日、私も重機での除雪作業に加わりました。この日の相棒はSM601という中型雪上車で…

屋根の雪おろし

盛りすぎたソフトクリームみたいに、たっぷりつもりましたね…。 ブリザードのあとしまつ、除雪が始まりました。 17日は、腰痛ベルトを巻いて屋根の雪おろしに参加しました。パワーショベルなどの重機が使えないので、人海戦術に頼ることになります。 いち…

宵の月

ブリザードがようやくおさまりました。 17日の夜、月明かりの中を少し歩いてきました。天測点と呼ばれる小高い丘からの夜景。建物の向こうは凍った海です。 風力発電の風車も一休み。昼間の強風がうそのような、静かな夜になりました。 明後日には満月にな…

極地研究所のコンピュータで仕事する

風雪が強くなって、15日は朝起きたら外出禁止になっていました。 職場に行けないので、自室のパソコンでデータ解析をしていますが、ちょっと大きなデータを扱おうとすると、パソコンでは時間がかかりすぎます。こんなときは、立川市の極地研究所のコンピュ…

ブリザードの休日

14日の日曜日、風雪が強くなって、お昼すぎには外出注意令が出ました。建物の中にとじこめられた休日の午後の過ごし方をいくつか紹介しましょう。 ミシン係の針仕事です。きれいな椅子のカバーができていました。 ボードゲーム「カタンの開拓者たち」が静…

地ふぶきの朝

13日の朝、空は晴れていましたが、低い地吹雪になっていました。風速は20メートルくらい。 日の出の40分くらい前の写真です。画面の向こうの方、空の下は南極大陸です。 地面を吹き抜ける粉雪が川の流れのように見えます。 日の出は9時03分でした。…

波打つ真珠母雲

12日の夕暮れ、日が沈んだ直後の西の空です。 明るく輝く横縞が、高さ20~30キロメートル付近の成層圏にできる真珠母雲です。(ふつうの雲は高度10キロメートル以下にあります) これまで、ぼんやりと輝く雲は見てきましたが、こうしたはっきりした筋のよ…

南極で見るペルセウス座流星群

日本ではお盆休みに、今年から「山の日」というのが加わったそうですね。 昭和基地は平常営業。「国内からくるメールが減ったなぁ」と、お盆らしいのはそれくらいです。 お盆といえばペルセウス座流星群。昭和基地では12日の午前2時ごろから朝8時ごろによ…

南極大陸に日が昇る

5日間つづいたブリザードがようやく終わりました。 11日の朝、日の出の1時間くらい前の写真です。強風で磨き上げられた雪面が紫色に染まっていました。 空には真珠母雲が輝いています。 nankyoku-30nin.hatenablog.com 9時15分ごろ、南極大陸の縁から…

雪の壁・その2

10日の朝、風が少し弱まって、青空も見えてきました。職場に機器の点検に出かけますが、建物を出てすぐ目の前にある雪の壁を超えないといけません。スコップで足場を作ります。 3メートルくらいの壁にステップを切って、登れるようにしました。 1時間ほ…

8月12日(金)のライブトークに出ることになりました

8月12日(金)、19日(金)、26日(金)に、極地研の敷地内にある南極・北極科学館で昭和基地と衛星回線で結んだライブトークがあります。 国立極地研究所 南極・北極科学館│イベント情報 入場無料。事前の申し込みもいりません。 わたしは今週の金曜日、12…

雪の壁

昭和基地では、3夜にわたってブリザードが続いています。7日午後、少し風が弱まったので、機器の点検に行こうとしたら、高さ3メートルを超える雪の壁ができていました。デジカメを防水ケースに入れて持って出ましたが、写真とってる場合じゃない。 普段な…

昭和基地から極地研一般公開に参加しました

6日、朝9時すぎに、「食堂に集まるように」との基地内全館放送がありました。 極地研一般公開プログラム・「南極・昭和基地からの生中継!ライブトーク」に集合です。 多くの隊員は、昨年の一般公開でも働いていたので、昭和基地でもスタッフTシャツで写り…

明け方のオーロラ

8月3日の晩は曇りで、ときおり雪も舞うあいにくの空模様でした。このさきの天気予報の資料を睨んで、夜半すぎには晴れてくるかも、と期待して夜勤をしていると4日の早朝、午前5時前に晴れて、オーロラが見えてきました。 朝7時前には、東の空がすこしず…

国立極地研究所の一般公開(8月6日)

8月6日(土)に、立川市にある国立極地研究所で、一般公開「極地研探検2016」が開催されます。 www.nipr.ac.jp 当日は日本時間で15:30から15:55まで、昭和基地と極地研を衛星回線で結んだ「南極・昭和基地とライブ中継!観測隊員に質問しよう。」というプログ…

赤いオーロラ

8月2日の夜、午後8時半ごろ、東の空に赤いオーロラが出ていました。昭和基地ではちょっと珍しいタイプです。 目で見た感じでは、ぼーっとした白い雲のようです。写真を撮ると赤く写って、オーロラだったのか、と気づくようなかすかなものです。 カメラを…

レスキュー用品

これは、昭和基地の直前の海にあるタイドクラック。潮の満ち引きのちからで出来た、氷の割れ目です。 かんたんにまたいで越せそうに見えますが、割れ目が雪で覆われているので、うっかり踏み抜いたら2メートル以上下まで落っこちることもあります。雪上車が…

冴える星空

空気は温度が高いと多くの水蒸気を含むことができますが、今の昭和基地のように冷え込むと、水蒸気が減って、空気の透明度が上がって、星々が冴えわたって見えます。 7月31日の夜に撮った写真です。画面左よりにみなみじゅうじ、その右にエータ・カリーナと…