世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

極域科学シンポジウムで発表してきました

11月27日に第61次南極地域観測隊が出発しました。今年は見送りにはいけなかったのですが、その1週間後、12月3日から5日まで、極地研究所で「極域科学シンポジウム」が開催され、私も発表してきました。

12月4日の水曜日、ひさしぶりに極地研究所に向かいます。

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青空の下の極地研究所

 

今回はポスターでの発表になりました。英語で作成したので、前の週末はなかなか大変でした。

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折ジワがついちゃいましたね

今、私が研究しているのは、大気の中にある「電気」についてです。

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この人の後ろにあるのが、大気電場を測る機械です

昭和基地では10年くらい前から観測が続けられていますが、なかなか解析が難しいのです。

たとえば昭和基地の雪はほとんど粉雪で乾いているので、電気を帯びています。雪の中ではデータにノイズが入って、例えばオーロラとの関係を研究するには使えない、ということになります。このノイズを取り除く方法を研究して、良いデータだけを取り出す事ができるようになりました。そして、「良いデータ」を見ていくと、派手なオーロラが出ているとき、大気の電場が弱くなっているのでは?という事例を示すことができました。
 

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この雪粒一つ一つが電気を帯びていて、ノイズ源になります

  こうした学会、シンポジウムは、研究者同士の情報交換の場でもあります。今回も、今後の研究のためにほしかったデータの入手について相談したり、また現れた現象の解釈について議論したり、有意義な時間を過ごせました。

 

まずまずがんばりましたが、ゴールは論文としての発表です。サラリーマンをしながら研究を続けていくのは大変ですが、日々、じわじわと進めております。年末年始はがんばらなくちゃ。