世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

夏宿舎のごはん

ここまで、野外での焼肉やかき氷の紹介をしてきましたが、ふだんのごはんの記事は書いていませんでしたね。 nankyoku-30nin.hatenablog.com nankyoku-30nin.hatenablog.com 夏宿舎の食事は、しらせから派遣される自衛官の支援をいただいて用意されます。 29…

56次追い出し会

2月1日の越冬交代が近づいてきました。1月28日の夜、一年間越冬してきた56次隊の「追い出し会」と称するパーティーが開かれました。 昨年、12月27日に56次隊が歓迎会を設けてくださいましたので、今回は56次隊のお客様を57次隊がお迎えします。 強風と雪の予…

昭和基地のダム

昭和基地には荒金ダム、というダムがあって、そのダム湖を飲み水やお風呂などの水源にしています。 このダム湖は、一年のうちほとんどは雪に覆われていますが、夏の終わりの雪解けが一番進んだこの時期だけ、湖面を見ることができます。 長さ300メートル、幅…

消火訓練の見学

昭和基地で火事が出たら、自分たちで消火しないといけません。消火器を使った初期消火に失敗したら、自分たちでホースを伸ばして放水。同時にけが人を救護したり、危険物を取り除いたり、場合によっては延焼を防ぐために建物を壊すことがあるかもしれません…

HFレーダー保守・起こす

26日、前日倒したレーダーアンテナを修理して起こすことができました。 今回、修理したアンテナは場所が悪くて、倒しても地面につかない、難しいものでした。トラックの荷台に脚立を固定して、部品を交換しました。 このところ風の弱い屋外作業日和が続いて…

HFレーダー保守・倒す

25日、昭和基地のHFレーダーアンテナの修理を始めました。 昭和基地のレーダーアンテナはでこぼことした岩場に建設されているので、足場がわるいのです。昨年の夏に、長野県・菅平で訓練したものですが、現地でやってみるとなかなか難しい。 nankyoku-30nin.…

賞味期限のはなし

(今日の記事はスマホでご覧の方には見づらいかも) しらせが横須賀を出航したのが昨年11月16日。ということは、つみこまれた食品は10月ごろ製造のものでしょうか。3ヶ月がすぎて、賞味期限の切れたものが出てきています。これは3週間前に賞味期限が切れた…

無人オーロラ観測装置設置、ですが・・・

今回の観測隊で観測を始める、無人オーロラ観測装置を昭和基地内に設置しました。 昨年8月、日本の夏の暑い盛りに設置訓練と試験観測をしたものです。 nankyoku-30nin.hatenablog.com インホブデの磁力計のように、発電機などの電気を使わずに無人で観測する…

観測隊員のファッションについて

多くの隊員はおんなじ格好です。頭は指定の緑色ヘルメット。服装は青のヤッケ、オレンジか赤色のオーバーズボン、ぜんぶ支給品です。 足元は黒の安全長靴。下駄箱で自分のものを探すのに苦労します。 日焼け防止のため、サングラスと目出し帽の人が多いです…

初日の出?

1月20日、昭和基地では今年はじめての日没がありました。日の入りが0時30分、日の出が0時37分。残念ながら、初日の出(?)はくもりで見ることはできませんでした。 翌日、午前0時過ぎに南の空を見に行きました。 まだ"夜"じゃないですね。夕焼けなのか朝焼…

昭和基地の夏を考える

12月23日に昭和基地に入ってから4週間あまりが過ぎました。1月20日は休日日課でした。元日、1月8日につづく3回めのおやすみです。わたしは観測機器の設定やコンテナからの荷出しなど、すこし仕事をしていましたが、追い立てられる感がすくなく、いくぶんリ…

動物注意?

17日、西オングルで使ったテントなどの荷物の片付けをしていたら、突然ペンギンが目の前に。 ドラム缶、倉庫との不思議なとりあわせです。 何故に一人で遊びに来たのかな? 昭和基地で見られるペンギンは、ほとんどがアデリーペンギンです。目の周りの白い輪…

西オングルのお線香

西オングルでは持参したテントか、現地に設置してある居住カブースに泊まります。「居住カブース」というのは、居住用の小屋をソリに載せたもので、雪上や海氷上を雪上車で牽いて移動できます。中はこんな感じ。 ふとんのほかに、非常用の食料、燃料などが置…

西オングルのごはん

西オングル島でのしごとは朝から晩までめいっぱいなので、ごはんは大きな楽しみです。しらせでいただいた食材を使って料理します。 nankyoku-30nin.hatenablog.com 以下、食糧係の私が作ったメニューです。 初日は鮭の切り身を使った石狩鍋。ごはんもちゃん…

西オングルの仕事

昭和基地は東オングル島に位置しますが、西オングル島のほうが大きな島です。東西オングル島の間は「中の瀬戸」という狭い海峡で隔てられています。 昭和基地には発電機や通信機、そしてレーダーなど、電波のノイズを出すものが多いため、ごく弱い信号を観測…

西オングル・まずペンギン

12日から15日まで、西オングルに出かけてきました。 帰ってきたあとも昭和基地で夜まで(明るいけど)仕事をしてました。ちゃんとした記事を書く余裕がないので、14日に西オングル観測拠点ちかくに遊びにきたペンギンのお写真でご機嫌を伺いましょう。 この…

南極行きにむけて【不測の事態編】(代理人投稿)

第57次越冬隊の帰国は来年3月です。一時帰国は不可能です。いざとなっても帰ってこれません。厳しいですが、これが現実です。 じゃあ、どうすればいいのだ?代理人なりに考えました。いざとなったとき対応できるようにしておこう、たとえそれが非常に確率の…

南極行きにむけて【署名・捺印編】(代理人投稿)

南極とメールがつながる時代となりましたが、ものを運ぶのはしらせのみ。日本からのお手紙は次のしらせにお願いするしかありません。お願いしたとして、届くのは順調に行けば今年の12月です。 要件はメールですませるとして、署名・捺印が必要な書類はどうし…

南極行きにむけて【荷物編】(代理人投稿)

ご本人が西オングル島に出かけたので、代理人の投稿です。 ご本人が出発して1か月以上となりました。「1か月は短かった?長かった?」と問われたら、「わからない」というのが正直な答えです。 1か月たって感じたことは「お酒は人と飲んだほうが楽しい」「…

昭和基地の天気予報

12日の出発を予定していた西オングルへの泊りがけの野外活動は、20メートルを超える強風のため、中止・順延になりました。でも、そんなに慌てることはありませんでした。気象庁から派遣された隊員が前日に発表した天気情報で予想されていたためです。 12日の…

夏の当直のおしごと

観測の引き継ぎ、野外活動、建設作業、輸送などなど、ひとりひとりの仕事は尽きることがありません。でも、仕事と生活を維持するための仕事も確実にあります。 10日、11日は夏宿舎の当直でした。当直は二人で、夏宿舎での生活をなんとか維持するための仕事を…

しらせから助っ人がやってきた

氷上輸送が終わって、10日にしらせの乗組員が基地設営の支援にやって来ました。2月上旬まで、20人あまりが、3泊4日で交代して作業にあたってくださいます。 屈強な海上自衛官たちです。オレンジ色の作業着はたいへん目立ちます。 10日の時点で、昭和基地に…

氷上輸送

昭和基地へは氷上輸送が行われています。雪上車が引く大きなソリにコンテナなど大きな荷物を積んで、しらせと昭和基地の間を輸送するものです。 これは日本に持ち帰る荷物。フォークリフトでコンテナを持ってきて、クレーンでソリに積み込んで、出発。 氷は…

南極大陸のかき氷

7日はまたまたヘリコプターに乗って、南極大陸にあるH68観測点へ行ってきました。大みそかに行ったスカーレン、1月4日に行ったインホブデは南極大陸の海辺にあるのですが、H68は海岸から40kmあまり内陸に位置します。大ざっぱに言えば、極地研究所のある立川…

燃料輸送

ホースでしらせのタンクと基地のタンクとをつないで、油を送り込んでいます。6日の午後は燃料輸送の支援に行きました。 100キロリットルのタンクが9個、これより小さいタンクもいくつかあります。 100キロリットルのタンクをひとつ、いっぱいにするには7…

しらせの頭

「しらせ」は4日午前1時45分(日本時間7時45分)に昭和基地のある東オングル島に接岸しました。こちらに迫力あるその勇姿が載っています。5日は「計画停電」。レーダー関係の建物の対処をして一息ついたら、アンテナと丘の向こうにしらせの頭が見えまし…

インホブデ・散策編 眼前の氷河

1月4日にでかけた、インホブデのつづきのおはなしです。仕事が終わったあと、お迎えのヘリが来るまで散歩する時間がありました。 眼前に氷河の端がそそり立ちます。 大晦日に行ったスカーレンのほうが氷河の規模は大きかったのですが、近くから見たこちらの…

インホブデ・お仕事編 無人磁力計のメンテナンス

1月4日、インホブデというところに日帰りで行ってきました。 インホブデは昭和基地から約140km、東京から静岡くらいの距離にあります。しらせ搭載のヘリコプターの航続距離限界に近いとのことで、荷物の重量など厳格に守るように言われました。 これがインホ…

第一夏宿(つづき)

昨日にひきつづき第一夏宿をご紹介。 食堂は第一夏宿にあります。 椅子が充分でないので、食べたらすぐに席を空けるように、との指示が出ています。早食いが顕著になりました。ガソリンスタンドで燃料補給をするような感覚でごはんを食べています。毎日午後7…

第一夏宿(水回り)

今日は第一夏宿をご紹介。通称”一夏”です。 こちらには水が通じているのでお風呂もあります。3人入ると、ちょっときついかな。 わたしが住んでいるのが第二夏宿まで400メートルくらい。風呂あがりに歩いて帰るのはちょっと寒い。 洗濯機も3台あります。 節…