世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

南極越冬隊医学調査フィードバック

2月24日、私が参加した57次南極観測隊員のたぶん最後の仕事に、横浜に出張してきました。南極越冬隊医学調査の結果報告と面談です。

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寒さ、夏の寝不足、冬の日照不足、肉体的疲労、心理的ストレスなどの南極特有の環境が作業効率に与える影響の研究のために、越冬中に6回の調査に協力しました。

 

  • 出発前  2015年11月
  • 越冬初期  2016年3月
  • 極夜  2016年6月
  • 極夜あけ  2017年7-8月
  • 白夜  2016年11-12月
  • 帰国時の船内  2017年2月

 

紙に書く形式の検査で、1時間くらいかかる、けっこう大変な調査でした。研究の結果は学会、論文などのかたちで発表されるはずです。発表前に研究内容についての詳細は伏せておくのが、サイエンスの”仁義”ですので、どんなことをやったのか、はここでは書きません。


奈良女子大学の先生が研究チームにいらっしゃるとのことで、奈良女子大学せんべいをおみやげに頂戴しました。

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鹿せんべいではありませんよ?

 

この日は結果の説明の後で、研究者と一対一で「こんな結果が出ていますが、この時期はなにがありましたか?」というような質問を受けるなどの調査に協力しました。個人の面談は20分くらい。わたしの場合は、オーロラ観測の夜勤があったためか、極夜期に他の隊員とはちょっと違った傾向がうかがえました。同僚の隊員は口を揃えて「雪かきがしんどかったです」と言っていたようです。


この医学研究、隊員にすぐメリットがあるわけではありません。データの分析は隊の行動が終わったあとなので、結果は現地では伝えられませんし、フィードバックも帰国後一年近くたったこの時期ですから。でも、今後の観測隊の、より安全でよりよい行動につながるといいですね。