世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

遠征出発記念!?ご本人へ30の質問 後編 【代理人投稿】

8月の旅行より今回のほうが穏やかに過ごせている代理人です。理由はこのあとに出てきますが、旅行の危険に関して、教えてもらえたから。『わからない』ことが人を不安にさせるのだと、気づきました。

では、最後の質問にいってみましょう!

 

Q21.昭和基地を離れると代理人はクレバスが心配でございます。予測される一番の危険は何?
 A21.クレバスについては、危険なところがある程度わかっているので、近づかない、不用意に雪上車からおりない。
 こわいのは天候の急変でまいごになること。まずいと思ったらそとに出ない、見当だけ、思い込みで歩かない。
 それから凍傷。防寒装備をきちんと付ける。いいかげんに付けているとあっという間にやられます。あと、遠慮せずに温かいところで休憩を取る。

 

Q22.危険回避のために重要なことは?
 A22.緊張感を忘れないこと。言い換えれば、慣れてしまわないこと。甘く見ないこと。

 

Q23.この時期に動物に遭遇することはあるのですか?
 A23.どんな時期でも、南極で動物が生きていけるのは海岸沿いだけです。出発して半日もたてば、動物を見ることはありません。

 

Q24.そうそう、前回雪上車に乗っていかがでしたか?雪上車の中って大きい音だそうで、耳が痛くなりました?
 A24.車によってもぜんぜん違うのですが、今回主に乗る予定の大型雪上車では、耳が痛い、というほどではなかったように思います。まあ、半日もすれば慣れるでしょう。

 

Q25.そもそも、南極大陸の音ってどんなものなのでしょう?ブリザード以外で音って感じるの?
 A25.風の音以外に何もないはずですが、旅行中、起きている間は雪上車のエンジン音がつづいているでしょう。

 

Q26.昭和基地に戻ってきたら、一番楽しみにしていることは?お風呂ですか?それとも別のことですか?(代理人はお風呂に入らない生活なんて、ありえない・・・)
 A26.お風呂、おいしい珈琲、ふとんで寝る、などいろいろありますが、一番は「無事帰った」のメールを打つこと。

 

Q27.一緒に遠征するメンバーに一言。
 A27.五体満足で帰りましょう。

 

Q28.昭和基地に残るメンバーに一言。
 A28.サポート、留守中の基地の維持に感謝します。

 

Q29.日本のみなさんと代理人に一言。
 A29.ちょっと遅くなっても、無事に帰ります。

 

Q30.あえて出発前に聞きます。また、南極に行きたいですか?
 A30.いまは、次回は考えられませんね。帰ってからどんな気分になりますか…。

 

(おしまい)