世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

南極大陸の旅・観測の仕事

南極に出かけていくのは、そこでしか見えないものを観測することが大きな目的の一つです。昭和基地から大陸の内陸部に雪上車を連ねて行くのも同じで、研究のための仕事をいろいろと頼まれていました。

 

これは、雪原に立てた旗の高さから、雪の積もった量を測っているところです。3年前の旗が足元に小さく見えています。新しい赤旗を立てましたが、3年間でこれくらい雪で埋もれてしまった、ということになります。

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約2キロメートルごとに旗の高さを測って、10キロメートルごとに雪を取ってきます。これは日本に持ち帰って分析されるそうです。

 

下の写真は、地磁気の無人観測装置を掘り出しているところです。手前の太陽電池を電源にして観測をしています。

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マイナス20度を下回る気温の中で、硬い雪を50cmほど掘って、観測システムからデータを回収。バッテリも交換しました。

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これは、大陸の氷の動きを見るためのGPS観測装置を回収しているところです。粉雪が舞う中での作業になりました。

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「旅をしてきました」と言うと、なんだか遊んできたような響きがありますが、とくにお天気が悪いときは、なかなかしんどい仕事でした。