世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年2月1日に次の隊と交代。3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

国立極地研究所で発表してきました

12月6日、有給休暇をとって国立極地研究所に行ってきました。

第9回極域科学シンポジウムで、南極・昭和基地でブリザードが起こったときの電気的な環境について発表してきました。発表の内容はこちら(英語です)。

 

この写真は私の発表ではありません。一般の講演とはちがって、自分が話しているときの写真を撮ってくださいとは頼みづらいので…。

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英語での発表も多くて、アタマが疲れる一日です。

学会発表、というとなにかかっこいい感じがするかもしれませんが、研究の世界では成果・業績にカウントされるものではありません(主催者から、お話してください、と招待された講演は別ですが)。一番のメリットは、他の研究者と議論ができること。それから、研究のモチベーションを上がることでしょうか。人前で話す以上、恥ずかしいものは出せないなあという気にはなりますから。私の研究は同業者が国内に20人もいないかな?というマイナーな分野なので、後者の「締切効果」が大きいですね。

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ポスターでの発表は一対一の議論ができて、これも楽しいものです。

私と一緒に越冬した、第57次隊の研究者とも再会できました。お互い、帰国後も頑張ってるなあ、と確認しあえるのは嬉しいものです。 

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午後5時半くらいに終了。すっかり日が短くなりました。

いってらっしゃい

11月25日、第60次日本南極地域観測隊が成田空港を出発しました。

www.sankei.com

 

今年は日曜日の出発だったので、お見送りに行ってきました。

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隊員は空港の有料待合室に集合して、偉い人の挨拶を聞いたりしたあと、搭乗手続きに向かいます。隊長を含めてみんなエコノミークラスです。

取材に来た人も何人かいらっしゃいました。

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60次隊のうちわでお見送り

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午後7時半に出発する飛行機でオーストラリアへ飛んで、フリーマントルという港町で「しらせ」に乗り、昭和基地へ向かいます。

見送りに行った私は、一緒に越冬した元隊員と連れ立って居酒屋に向かったのでした。

「面白南極料理人」がドラマになるそうです

googleアラートに入ってきた情報です。

来年1月から放送開始。テレビ大阪制作で、関西以外ではBSで見られるようです。

 

www.tv-osaka.co.jp

 

 

舞台は昭和基地から1000キロメートルあまり離れた、南極大陸の内陸、富士山頂より高い標高3810mにある「ドームふじ」です。私は行ったことはないのですが、昭和基地よりは遥かに過酷で、厳寒の地です。

 

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この写真は、一昨年の10月下旬に私が南極大陸に旅行したときのものです。今、60次隊の先遣隊がドームふじに向けて雪上車で移動中です。

 

science-museum-blog.nipr.ac.jp

 

さて、ドラマの方は、30分を12回。役者さんは観測隊員のイメージとはちょっと違う感じ(モデルになった隊員を何人か存じ上げていますのでね)。でも衣装は本物っぽいです。

”よりもい”みたいに、意外にいいじゃない、となりますかね。楽しみに待ちましょうか。

nankyoku-30nin.hatenablog.com

本屋大賞・ノンフィクション本大賞受賞作「極夜行」を読みました

「極夜行」という本が、今年の、本屋大賞 ノンフィクション本大賞を受賞しました。

news.yahoo.co.jp

 

 この記事で、極夜にGPSを持たずに北極圏を歩いた人のことをちょっと紹介しましたが、その本ですね。

nankyoku-30nin.hatenablog.com

 

北極域の極夜の風景やオーロラの描写はあまりなくて、ひたすら行動と食料、それに想いが、迫力ある文章でぎっちりと詰め込まれている本でした。ここまで過酷な旅をしていれば、眺めを記録する余裕なんてないのかもしれません。

 

一日中、おひさまが昇らない極夜の経験者として相通じるものがあるかな、と思って購入したのですが、一読した感想としては、南極観測隊とは全く違う行動規範で動いているなあ、ということ。

暗い中を、GPSなし、自分がどこにいるかよくわからない中で一人で行動する、なんて少なくとも、日本の南極観測隊ではありえないことです。もしも観測隊で人が死んだら、今後の南極観測の継続が危うくなるかもしれない。

ときどき、 「南極探険隊に参加されていたんですか?」と問われることがあるのですが、日本の観測隊は、あえて危険を冒す「探険」隊とはだいぶ違います。

 

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昭和基地では、太陽が昇らなくても正午近くには薄明るくなります。何日も真っ暗な時間が続くわけではありません。)

 

 

 

「しらせ」出航

 10日の午前11時に「しらせ」が晴海埠頭を出航しました。

www.sankei.com

 

宇宙よりも遠い場所」の影響でしょうか。twitterでもたくさんの写真を見られます。

twitter.com

艦の外観を見るとちょっと懐かしいですね。とくに帰り道は時間がたっぷりあって、今のバタバタと忙しい日々との差が身にしみます…。

 

「しらせ」の日々の位置はこのサイトで見られるはずです。

国立極地研究所 南極観測のホームページ│進め!しらせ

(一日一回の更新なので、11月11日朝の時点では、今回の航海の経過はまだ出ていないようです。)

 

昭和基地でも「しらせ」の位置はチェックしていました。生鮮食料品など荷物がやってくるのは楽しみなのですが、昭和基地に到着するまでに除雪や宿舎の準備など受け入れ体制を整えておかないといけない。夏にむけて、猛烈に忙しくなるのです。

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(2016年の1月、しらせから昭和基地に荷物を運んでいるところです)