1泊2日で、冬至の札幌に行ってきました
12月22,23日と札幌に行ってきました。北海道大学で共同研究している先生と打合せです。
当日朝に東京を出て、午後3時半から研究室で、もうすぐ投稿予定(のはず)の論文原稿について意見を伺ったり、昭和基地の観測データ処理について留学生とお話したり。
留学生のかたは日本語はまだよくわからないとのことで、英語での説明になって、冷や汗をかきました。
2時間半ほど議論して、アタマが疲労困憊になって、研究室を失礼するころには夜になっていました。
雪あかりの大学構内もきれいですが、雪道は慣れないとあぶない。登山靴を履いていって正解でした。
三連休のさなかでもあり、外国人のお客さんもたくさん見かけました。市内中心部のお手頃な宿は満室のところが多く、ちょっとはなれたビジネスホテルに向かいます。
途中、味噌ラーメンで夕食。
からだを温めてチェックインして、その夜は呑みにも行かず、指摘を受けた点の修正を考えたのでした。
12月22日は、南極では夏至で、日の沈まない白夜の最中ですが、
札幌もクリスマス商戦の最盛期。千歳空港ゆきのバスに乗ろうとしたら運転手さんから、市内が大渋滞で、何時に空港に着くかわからないから、今日はやめといたほうがいい、と言われました。自分の運転するバスに乗らないほうがいい、というアドバイスは説得力があり、JR北海道の快速列車で移動しました。
国立極地研究所で発表してきました
12月6日、有給休暇をとって国立極地研究所に行ってきました。
第9回極域科学シンポジウムで、南極・昭和基地でブリザードが起こったときの電気的な環境について発表してきました。発表の内容はこちら(英語です)。
この写真は私の発表ではありません。一般の講演とはちがって、自分が話しているときの写真を撮ってくださいとは頼みづらいので…。
学会発表、というとなにかかっこいい感じがするかもしれませんが、研究の世界では成果・業績にカウントされるものではありません(主催者から、お話してください、と招待された講演は別ですが)。一番のメリットは、他の研究者と議論ができること。それから、研究のモチベーションを上がることでしょうか。人前で話す以上、恥ずかしいものは出せないなあという気にはなりますから。私の研究は同業者が国内に20人もいないかな?というマイナーな分野なので、後者の「締切効果」が大きいですね。
私と一緒に越冬した、第57次隊の研究者とも再会できました。お互い、帰国後も頑張ってるなあ、と確認しあえるのは嬉しいものです。
午後5時半くらいに終了。すっかり日が短くなりました。
「面白南極料理人」がドラマになるそうです
googleアラートに入ってきた情報です。
来年1月から放送開始。テレビ大阪制作で、関西以外ではBSで見られるようです。
舞台は昭和基地から1000キロメートルあまり離れた、南極大陸の内陸、富士山頂より高い標高3810mにある「ドームふじ」です。私は行ったことはないのですが、昭和基地よりは遥かに過酷で、厳寒の地です。
この写真は、一昨年の10月下旬に私が南極大陸に旅行したときのものです。今、60次隊の先遣隊がドームふじに向けて雪上車で移動中です。
science-museum-blog.nipr.ac.jp
さて、ドラマの方は、30分を12回。役者さんは観測隊員のイメージとはちょっと違う感じ(モデルになった隊員を何人か存じ上げていますのでね)。でも衣装は本物っぽいです。
”よりもい”みたいに、意外にいいじゃない、となりますかね。楽しみに待ちましょうか。
本屋大賞・ノンフィクション本大賞受賞作「極夜行」を読みました
「極夜行」という本が、今年の、本屋大賞 ノンフィクション本大賞を受賞しました。
この記事で、極夜にGPSを持たずに北極圏を歩いた人のことをちょっと紹介しましたが、その本ですね。
北極域の極夜の風景やオーロラの描写はあまりなくて、ひたすら行動と食料、それに想いが、迫力ある文章でぎっちりと詰め込まれている本でした。ここまで過酷な旅をしていれば、眺めを記録する余裕なんてないのかもしれません。
一日中、おひさまが昇らない極夜の経験者として相通じるものがあるかな、と思って購入したのですが、一読した感想としては、南極観測隊とは全く違う行動規範で動いているなあ、ということ。
暗い中を、GPSなし、自分がどこにいるかよくわからない中で一人で行動する、なんて少なくとも、日本の南極観測隊ではありえないことです。もしも観測隊で人が死んだら、今後の南極観測の継続が危うくなるかもしれない。
ときどき、 「南極探険隊に参加されていたんですか?」と問われることがあるのですが、日本の観測隊は、あえて危険を冒す「探険」隊とはだいぶ違います。
(昭和基地では、太陽が昇らなくても正午近くには薄明るくなります。何日も真っ暗な時間が続くわけではありません。)