世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

一カ月で2キロ減

(問)南極で暮らすと太るの?

(答)はい、最大で8キロ近く太りました。

f:id:nankyoku_30nin:20170605131423p:plain

 3月23日に帰国して一カ月くらいは、体重はあまり変わりませんでした。呑み会がたくさんあったほか、家でもちょっといいものを食べていたりしたのでしょうね。

そろそろまずいなあ、と思って5月からダイエットをはじめました。わたしは、痩せようとするときはレコーディングダイエットを実行します。

レコーディング・ダイエット決定版 (文春文庫)

レコーディング・ダイエット決定版 (文春文庫)

 

 この本には、

・最初は食べたものを書いて記録する。

・カロリー計算をする。

・一定のカロリーのなかで収める。

 …と順を追って詳しく書かれていますが、私の場合は、食べたものをメモしていくだけで体重が落ちてくれます。

f:id:nankyoku_30nin:20170605213027j:plain

ちょっとしたお菓子をつまむ、なんてことが減るからでしょうかね。

5月初めから一カ月間で2キロくらい減量できました。一昨年の12月、昭和基地に向けて出発するときに比べると2キロほど重いのですが、日本の夏に向けて、ちょっと体力的に余裕をもっておこう、ということで、このへんで減量は一休みします。

 

南極観測隊員のゾモ、ネパール・ランタン谷へ

 今年2月に、ネパール地震の被災地復興支援「ゾモTシャツ」を紹介しました。

nankyoku-30nin.hatenablog.com

2015年4月のネパール大地震で被害を受けたランタン谷にヤクと牛の混交種のメス「ゾモ」を寄付して牧畜の再開を支援しようという試みです。

 

越冬中の57次南極観測隊員によるTシャツの売上で購入され、ランタン村に落ち着いたゾモの写真をいただきました。
名前は「メトー」、花という意味。顔、背中、下肢が白いゾモはきれいなので「花」と呼ぶそうです。女の子だから、お花ちゃん、か。

f:id:nankyoku_30nin:20170531140359j:plain

 ゾモは、ヤクの3倍から5倍の乳を出すんだそうです。たっぷりお乳を出して、しっかり稼いでくださいな。

 

ゾモTシャツを着てランタン谷にゾモを贈る企みに関心のある方は、こちらをご覧ください。

dzomo.org

販売価格2,000円のうち1,000円が支援に充てられるそうです。

映画「日本南極探検」(1912年・田泉保直撮影)

Lixilギャラリーを見るために京橋まで来たあと、せっかくなのですぐ近くにある国立近代美術館フィルムセンターを覗いてみることにしました。

東京国立近代美術館ーフィルムセンター


南極関連の物があるとは思っていなかったのですが、常設展示のなかに、映画「日本南極探検」(1912年・田泉保直撮影)の展示がありました。白瀬矗が南極探検で巨額の借金を背負って、全国各地で映画上映と講演の会を開いて返済したと聞いていましたが、この映画がどのように制作されたのか、初めて知りました。

 

白瀬矗の南極探検隊講演会の会長だった大隈重信に勧められて、映画会社、M.パテー商会(にっかつの前身のひとつ)が当時23歳の田泉保直を派遣したのだそうです。これが壮行写真。

f:id:nankyoku_30nin:20170528120358j:plain

「日本南極探検」は、 日本の映画産業がまさに始まった直後に製作された映画だったといっていいでしょう。

3分間のダイジェスト版が展示されていて、何回も見入ってしまいました。 

f:id:nankyoku_30nin:20170528120302j:plain

 

別のコーナーに展示されていた1930年頃のチラシです。 撮影から18年くらいあとですが、「日本南極探検」が白瀬さんの講演つきで上映されていたようです。

f:id:nankyoku_30nin:20170528141811j:plain

(常設展示の写真は撮ってもよいのですが、フラッシュを光らせるのは遠慮したので、ちょっとぶれた写真になっています。すみません。)

100年前に、動いているペンギン、アザラシなど南極の風景を見せられれば、お客さんもたくさん来てくれたことでしょう。

 

昨年11月、私が昭和基地にいたときに、このフィルムセンターで上映時間49分の日本南極探檢 [デジタル復元版]上映会があったようです。

日本南極探檢[デジタル復元版] | 東京国立近代美術館フィルムセンター

見たかったなあ! もう一回やってくれないかしら。

南極建築の歴史展

5月27日まで、京橋のLIXILギャラリーで巡回企画展「南極建築 1957-2016」が開かれていました。

www1.lixil.co.jp

 

京橋は銀座の近く。そんなに用事がある、というところでもないので、なかなか足を運ぶ機会がなかったのですが、開催最終日に滑り込みで行ってきました。

観測隊員が身につけるグッズや建物の現状の展示は、自分にとっては目新しいものではないのですが、一次隊のプレハブ建築工事風景の大きなパネルなどはなかなか見ごたえがありました。

f:id:nankyoku_30nin:20170528093417j:plain

一次隊の設計基準6項目が紹介されていましたが、全く行ったこともないところの状況を想定する難しさを感じさせますね。

最低気温マイナス60度
 →マイナス40度を下回ることはまれ。
風速は常時毎秒80メートル
 →50メートルを超えることはめったにない。
最大雪面は屋根面で2メートル
 →まわりに建物がなければ、ほとんど積もらない。
地震力は零
 →これは正解。身体に感じる地震はない。
湿度40%(相対)
 →まあまあいい線。
室内気温プラス20度(温度差80度)
 →温度差80度は過大。

よくわからないときには十分に余裕を持って準備するのが鉄則ですが、設計者は苦労されたでしょうねえ。建物が軽すぎるのでワイヤーで地面に固定した、というのは初めて知りました。

この、一次隊の建てた建物のうちひとつはまだ健在で、文化財として昭和基地内で保存されています。 

nankyoku-30nin.hatenablog.com

 

 あと、世界各国の南極基地の紹介が興味深かったです。

f:id:nankyoku_30nin:20170528094358j:plain

極地の自然環境に耐えられる建物は似たようなものかと思いきや、各々の基地の環境に沿った工夫にお国柄のようなものが合わさって、個性豊かな建物ができています。

機会があったら他国の基地に行ってみたいですね。外人さんの中で越冬するのはしんどいかもしれないけど。

日曜の朝・日テレ

いっしょに越冬した57次隊員が、
5月28日(日)9:55~11:25
7daysTV特別番組かぞくストーリー(日テレ)

に出演されるとの情報がありました。

 

www.ntv.co.jp

”南極隊員の父が子供の誕生を祝って送った“オーロラ”とは?”

へー、そんな粋なことしてたんですか。知らなかったなあ。