世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年2月1日に次の隊と交代。3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

南の島でシロクマについて考える

小笠原諸島の父島に出張してきました。父島を含む小笠原諸島世界自然遺産に登録されています。それは、海や自然がキレイだからではなく、この島々が過去に一度も大陸と地続きになったことがないために、風や海流や鳥によって運ばれてきたさまざまな生きものがここにしかない姿を保っているから、だそうです。
この写真の右手前に写っている"タコノキ"。根本に広がっているのは人が立てた支柱ではなくて、根をタコの足のように広げているものです。

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独特の進化を遂げた環境に、そこにいない生きものを持ち込んでしまうと、固有種がたいてい負けます。食われたり、植物だと生えている場所を占拠されたりするわけです。対策として、たとえば野生化した猫を捕まえるための箱が道路の脇の林の中においてありました。

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猫がこの箱に入ったら、金網の扉がぱたんと閉まるのでしょう。

 

森の中をうろつく猫が減ったおかげで、固有種の"アカガシラカラスバト"が増えてきているそうです。この写真は宿の近くを散歩していて見つけたもの。

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人里の近くで見られるとは思わなかった。

私自身、外来生物については知識はあったものの、あまり関心はなかったのです。
しかし、今回、往路の船中で関連するパンフレットを見ていて、「そういえば南極も似たような環境にあるなあ」と思い当たりました。
5月25日の代理人更新の記事にhrktmrさんから「南極にはオオカミ、シロクマはいなく、北極にはいるんですね。その違いはなんでしょう?」というコメントを頂いていましたが、その答えはやはり「北極には歩いていけるけど、南極には来られなかった」ということであるようです。

nankyoku-30nin.hatenablog.com

 
でも、たとえばシロクマを何頭か南極に持ち込んで、ペンギンやアザラシをエサに繁殖を始めたら、と考えると…外来生物の怖さがわかるような気がします。