世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

2015-01-01から1年間の記事一覧

南極行きの荷物・私物

「1年と3か月の間に、パンツは何枚必要ですか?」 ほとんどの人は、そんなことは考えたこともないでしょうけれども、今や、まさにこうした検討をしないといけません。 ほかにも、はみがきは? ヒゲ剃りは? 日焼け止めは? 爪切りは? などなど、さてどれ…

訓練:地磁気観測所

10月8日から9日に、観測訓練と機材のテストのため、気象庁地磁気観測所に出張してきました。 南極に設置する、「リオメータ」というオーロラを電波で観測する装置の試験です。極地研のある立川市では電波雑音が多くて、機器がちゃんと動いているかどうかわか…

訓練:HFレーダーの運用

9月22日から24日に、HFレーダーの運用訓練のため、北海道十勝の陸別町にある名古屋大学のレーダー施設に行ってきました。陸別は日本でいちばん寒い町だそうですが、レーダー施設はさらに郊外の、携帯の電波が届かないようなところです。 レーダータワーの周…

南極行きの荷物・12フィートコンテナ

しらせの出航まで60日あまりとなりました。 南極へもっていく荷物の準備が始まっています。 これは、12フィートコンテナという、3.6×2.3×2.3メートルのコンテナです。建築関係の材料など、大物がつめ込まれています。貨物列車に使われているものと同じ大きさ…

子育て教育フェア(立川市)

立川駅北口の近く、サンサンロードにて開催された第13回子育て教育フェアに、極地研究所が出展することになり、お手伝いに行ってきました。 極地研のテントはモノレールのすぐ下。 南極の氷にさわろう!というコーナーは、行列のできる時間帯もありましたが、…

訓練:風力発電

おひさまの出ない南極の「極夜」の間は、太陽電池は発電してくれません。真っ暗でも風は吹いているので、風力発電をつかえばいいじゃん、と考えるひとは多いのですが、これがなかなかむつかしい。昭和基地周辺では年に10回以上もブリザードという嵐が来ます…

訓練:小型移動式クレーン

9月7日から9日の3日間、小型移動式クレーンの訓練を受けてきました。受講者は20人、うち女性が一人。 7日と8日は学科。テキストは玉掛より分厚いです。8日の最後に学科試験がありましたが、落ちた人はいなかったみたい。9日は実技。実技試験は、クレーンで25…

訓練:玉掛け技能講習

8月26日から28日の3日間、玉掛け技能講習を受講してきました。 テキストによると"玉掛け"とは「ワイヤーロープやチェーンそのほかの玉掛け用具を用いて、荷をクレーン等のつり具に取り付けたり、取り外す作業」だそうです。ヘリコプターで昭和基地に運ばれ…

訓練:無人オーロラ観測装置

出発まであと100日になりました。 長野、北海道、名古屋、信楽の次はつくばです。25日、日帰りでつくば市の国土地理院に行って、無人オーロラ観測装置の設置訓練を受けてきました。 無人の観測装置は、南極大陸や沿岸の島にいくつも設置されています。たとえ…

訓練:ライダー観測

長野、北海道、名古屋の次は滋賀県です。8月22日、滋賀県信楽にあるMUレーダー観測所で訓練を受けてきました。MUレーダーとは、中層(middle)と高層(upper)の大気を観測するレーダーシステムです。 475本のアンテナが並んでいます。今回私たちが訓練を受けた…

南極・北極科学館

極地研究所の南極・北極科学館は、入場無料で開館しています。8月13日、こどもを連れて行ってきました。 この夏はホッキョクグマの剥製がご来館。 オーロラシアター。月替わりのプログラムで、空いっぱいのオーロラを見ることができます。(上映中は撮影禁止…

南極観測船 ふじ

8月10日、名古屋大学での訓練が始まる前に、名古屋港にある「南極観測船ふじ」を見学してきました。 人形が置いてあって、三十数年前の船内の様子を再現してあります。観測隊員の部屋は、当時とあんまり変わらない感じ。 操舵室にも入れます。これは「しらせ…

訓練:ミリ波分光観測

長野、北海道の次は名古屋です。8月10日から12日間の二泊三日で、名古屋大学太陽地球環境研究所で「ミリ波分光観測」の訓練を受けてきました。 酸素や窒素、二酸化炭素といった分子はそれぞれ特有の電波を出しています。このうちミリ波」と呼ばれる波長数ミ…

極地研究所の一般公開

8月8日(土)に極地研究所(東京都立川市)の一般公開が行われました。 極地研のスタッフはこんなおそろいのTシャツでお出迎え。 ロビーにおおきな気球を展示しています。 観測隊関係では、テントに入ったり スノーモービルにまたがったりできます。 大きな雪上…

訓練:大気電場観測

長野県・菅平のつぎは北海道での訓練です。地面と、その1メートル上との間には、100ボルトくらいの直流電圧がかかっています。(もちろん、ふつうに立っていて感電するようなことはありません)この電圧の変化を、昭和基地で測っています。昭和基地と同じ形…

訓練:HFレーダーアンテナ

7月31日と8月1日の2日間は、長野県の菅平にある電気通信大学菅平宇宙電波観測所でHFレーダーアンテナを修理する訓練を受けました。 HFレーダーとは強力な電波(短波ラジオくらいの周波数です)を空に向かって発信して、反射してきた電波から空の高いところの空…

歯医者さんに行ってきました

歯医者さんに行ってきました。といっても虫歯が痛いわけではなく、定期健診です。 昭和基地にはお医者さんは2人いますが、歯医者さんはいません。昭和基地で歯が痛くなったら、お医者さんが歯を診てくれます。出発前に歯科の訓練をうけるそうですが、やっぱ…

隊員室開き

7月4日、「隊員室開き」が行われました。57次隊のお披露目です。雨の中、極地研究所のスタッフやOBなど、250人くらいのお客さんがお出でになりました。会場は極地研究所の大きな倉庫です。 メニューは串焼き、お刺身、棒棒鶏、サンドイッチ、冷麺、カレー、…

隊員室がオープン

7月1日から、極地研究所内に「隊員室」が設けられます。隊長、副隊長をはじめ隊員がここに通って、いろんな打ち合わせをしたり、南極で必要なものをリストアップして買う手続きをしたり、持っていく貨物を船積みできるようまとめたりします。60人の隊員の…

夏訓練

6月15日から18日、隊員候補者による夏の訓練が行われました。場所は、多摩市にある桜美林大学セミナーハウスです。屋外でのサバイバルが多かった冬に比べると、今度は主に講義と作業の打ち合わせで、合宿に近いような4日間でした。 講義の合間に、極地研か…

健康診断がこわい

昭和基地には立派なお医者さんが2人います。しかし、その2人で処置できない、となっても大きな病院に運んでいくことはできません。2人しかいないドクターで隊員のすべての病気を治療しないといけません。ですから、出発の前にとても詳細な健康診断を受け…

冬山訓練

隊員候補者を集めて、3月2日から6日までの5日間、乗鞍高原で冬季訓練が行われました。 内容は雪の上の歩き方:スノーシューをつけて山の中を歩きます。 ルート工作:地図上に付けられたしるしの地点まで、地図とコンパスだけで到達する訓練です。今は南極で…

面接へ、そして…

無事に書類選考を通過して、2015年1月16日、極地研究所で面接を受けました。面接する人は10人くらいで、参加予定の隊長・副隊長もいらっしゃいました。 主な質問と答えはこんな感じ(問)応募動機を簡単に説明してください。(答)第48次隊に参加して素晴ら…