世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

南極観測船「しらせ」昭和基地に接岸

12月23日、59次隊を乗せた南極観測船「しらせ」が昭和基地沖へ接岸したそうです。
…は、はやい。第一便も、接岸もニュースに気づくのが遅れてしまいました。

 

ラミング回数27回、は驚きの少なさです。「ラミング」とは、船をすこしバックして、勢いをつけて氷に乗り上げ、船体の重さで氷を砕いて進むことです。

 

昨年、私を迎えに来てくれた58次隊は、往路114回でした。

一昨年、私が行った57次隊は往路931回。

その前、56次隊は、過去最多の往路3187回で接岸。

さらに、53次、54次ではラミングでも氷を割れず、接岸を断念しています。

 

今回の往路は、ほとんどバックすることなく、ごりごりと氷を砕きながら前進を続けられたようです。

 

早く昭和基地に着くと、夏作業の日程に余裕ができます。でも、迎える58次隊は準備を間に合わせるのが大変だったと思います。夏宿舎の準備が終わっていないと、昭和基地に入った隊員が寝るところがない。 昨年、58次隊が到着する前には、私もかなり残業しました。

nankyoku-30nin.hatenablog.com

 

ところで、"昭和基地沖へ接岸"ってなにかへんですね。沖へ接岸?

昭和基地には船が着く港、岸壁がないので、しらせは沖合に停泊します。燃料を基地内のタンクへパイプで送るための、ホースの長さが足りるところ(だいたい約1キロメートルくらい)到着すると「接岸」と言うことになっています。