『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』を見ました
来週の金曜日、3月23日に南極観測隊58次越冬隊と59次夏隊が帰国するそうです。
昨年のいまごろ、『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』が公開されていて、代理人はこどもといっしょに見てきました。
私の帰国後もしばらく上映していたようですが、ばたばたしていたので映画館にはいけませんでしたが、つぎの映画ドラえもんが公開されるタイミングで、3月2日にテレビ朝日系で放送されました。で、録画したものをようやく見ることができました。
のび太くん、最初は半ズボンで南極にでかけてました!
そのあと防寒着を着ていましたが、22世紀になっても防寒着の外観はあんまり変わらないのですなあ。
昭和基地は、ほんのちょっと画面に登場しましたね。海の氷上から見た感じは、たぶんこのアングルに近い。
わたしが参加した隊の一つ前、56次越冬隊に、ドラえもんの版元である小学館から隊員が出ています。越冬経験を反映した絵やストーリーがあるかな、と思ったのですが、このアニメを制作しているころは、まだ南極にいたはず。
それにしても、どこでもドアで南極に行けたら、いいなあ。
TVアニメ「宇宙よりも遠い場所」第十話:昭和基地内
私が参加した第57次南極観測隊にも、一定数のアニメ者がいました。で、「聖地巡礼」についてもちょっとだけおしえてもらったのです。
よりもい、聖地でぐぐると、多くの方が訪れて写真を紹介していらっしゃる様子。でも、さすがに昭和基地を語れる人は少ないだろう、ということでやってみましょう。
まず、ヘリコプターで昭和基地に降り立ちましたが。
現在、主に使われているヘリポートはこんな感じ。(H)のマークは入っていません。
ヘリコプターが降りるとき、飛び立つときにはたしかにものすごい風に見舞われます。
手袋を外しても、べつに怒られはしませんが、そんなことしてる人は記憶に無いなあ。
BARも紹介されていましたね。
さすがに女子高生に呑ませるわけにはいかないです。
そして、彼女らが入った個室です。
四畳半くらいの広さに机、ロッカー、ベッドが入っています。4人が集まるとぎゅうぎゅうづめでしょうね。
私自身が一番、ツボにはまったのは、夜間(といっても日は沈まないけど)の空。
これは2016年2月11日、夜9時過ぎに撮ったものです。白夜の、夕焼けだか朝焼けだかわからない、この色合いが見られるのが嬉しかった。
昭和基地はいったん閉鎖されて、3年後に復活させた、という設定ですが、しばらく建物を使わない、というときには、凍らないように配水管の水を抜いて不凍液を入れておくなどの処置が必要です。だから、到着してすぐに部屋に入って暮らす、というわけにはいかない。 夏の隊員が入る宿舎は2月中旬から12月下旬まで閉鎖されますが、復活させるのはかなり大変です。
彼女らが昭和基地に入る前に、受け入れ準備の作業をしていたのでしょう。
南極観測60年の写真展・東京国際フォーラム
3月3日から16日まで、東京・有楽町の東京国際フォーラムで、南極観測の写真展が開催されています。朝10時から夜7時まで、入場無料です。
ちょうど神田で呑み会がありましたもので、初日に出かけてきました。
展示場所は地下一階。地上から降りていくエスカレーターに乗ると全容を眺めることができます。
南極の写真をガラス棟の吹き抜けの下で眺める。なんとなくミスマッチですが、悪くない。
最新の機材で撮影された写真も見事でしたが、昭和基地開設当初の姿を記録した貴重な写真が楽しかったです。初代観測船「宗谷」での輸送作業など、これはちょっとできないなあ。また、当然ながらデジカメでなくフィルムでの撮影・現像ですから、撮るがわの苦労も忍ばれます。
第二代南極観測船「ふじ」とペンギンのモノクロ写真を熱心に見ている女の子がいました。
まあ、ペンギンは白黒でもカラーでも、あまりかわらないか。
TVアニメ「宇宙よりも遠い場所」第九話:ラミングと艦上体育
「ペンギン饅頭号」は氷海に入ってきました。nankyoku-30nin.hatenablog.com
船の周りが氷で囲まれると揺れなくなるので、船酔いに苦しんでいた人もひと息つけます。ペンギンも見えてきますね。
ラミングの描写はなかなかにリアル。「ラミング」とは、船をすこしバックして、勢いをつけて氷に乗り上げ、船体の重さで氷を砕いて進むことです。
船の前方から水を噴き出している描写がありました。あれは、2009年から運航している現用の「しらせ」から装備されたもので、海水をくみ上げて撒いて、氷の上の雪を少なくするのが目的です。氷の上に船を乗り上げさせるときに、雪が積もっているとクッションになって衝撃が減じてしまうので。
エンジンの音、氷を割っていく振動など大きいのですが、揺れはすくないので、艦上体育はできますよ。
なわとびはやりませんでしたが、艦上ヨガってのがありましたね。
氷海の航行は、観測隊員にとってはつらいものではありませんが、乗組員のみなさんにとっては勝負どころ。ここ数年は氷が薄くて快調に突破できていますが、氷の状態が厳しいときは、「ペンギンに追い抜かれる」くらい進まないときもあったと聞きました。何日たっても景色が変わらないのは、なかなか切ないものだそうです。
「南極料理人の映画に出てくる伊勢海老のエビフライを食べる会」
2月24日、医学研究の後は徒歩で移動。すぐ近くで「南極料理人の映画に出てくる伊勢海老のエビフライを食べる会」が開催されるのでした。
横浜関内レストラン&バー「 Mirai(みらい)」 - 横浜・関内・吉田町で多国籍料理と南極メニューをご提供する「レストラン&バー Mirai(みらい)」。
33次と50次、調理担当として2回の越冬を経験された篠原さんのお店を借り切って、57次越冬と58次夏の隊員がたくさん集まりました。
私を含めて医学研究に参加した4人は、イベント開始よりもずいぶんまえにお店に乱入、生ビールをいただきながら待たせていただきました。なんとずうずううしい。
で、これが伊勢エビフライ。
これが映画に登場したエビフライ。
大きな身にタルタルソースをたっぷりつけると美味でした。
映画のなかでは隊員の評判は今一つ、ということになっていますが、たしかに野外に出ると、スナック菓子のような油っ気とハッキリした味が欲しくなるんですよ。わたしは映画の舞台になったドームふじ基地には行きませんでしたが、過酷な環境のもとでは淡白で味わい深い一品はウケが悪いのもちょっとわかる気がします。