「面白南極料理人」第7回
このドラマ、ご飯のシーンが楽しみなんですが、南極経験者としては、とっても気になることがあるのですよ。
それは、おかずに緑の野菜があること。レタスか、サラダ菜か、と思われる葉っぱがお皿に乗っていて、ありえないよなあ、と思ってしまうのです。
前回、第6回ではお好み焼きをつくっていましたが、6月のミッドウィンターの後にまで保存したキャベツをそんな、お好み焼きで消費し尽くすなんて、ありえねえ。
これは、野菜がふんだんにある別の世界の南極のお話なんだ、と思っていたのですが、今回はもやし栽培が出てきました。
昭和基地でも、もやしを栽培していました。
おひたしやナムルにして食感を楽しみました。ラーメンに入れたい、という声もありましたが、相当な量を一気に作らないといけないので、越冬中に1回、実現させただけです。
サラダ菜などの葉物は作れますが、芋やにんじんなど根菜は無理。
シソも立派に育つのですが、なぜか香りが薄い。水と肥料だけだと、ミネラルか何か足りないのかなあ。
さて、「面白南極料理人」は次号予告を見てもドラマだか妄想だか、わけわかんなくなっていますが、2月27日の夜(再放送は28日の深夜)、地上波・NHKでガチのドキュメンタリーが放送されます。
私が参加した57次隊の越冬隊長が出演されるとのこと。録画予約を入れました。
「面白南極料理人」第6回
30分×12本だから、第6回が終われば折返し点。
1話目は越冬生活の折り返し点、ミッドウィンターのお話でした。極夜の真ん中で、南極中で盛大に祝われます。国内からお祝いのメッセージ、寄せ書きなどをいただいているほか、南極中の基地からグリーティングカードが届きます。
ドームふじでの露天風呂に向かう、というシーンがありました。 (”向かうシーン”であって、"入るシーン"、ではない)
ミッドウィンターには昭和基地でも露天風呂が開催されましたが、室内で裸になって走っていく、ってことはないです。羽毛服を羽織って外に出て、入る直前に脱ぐ。
風呂から上がるときがたいへんで、数秒で最低限の水気を拭き取って、また防寒着を羽織って室内に駆け込みます。
「面白南極料理人」第5回
一話に3つのショートストーリー。1つはシリアス、あと2つが…というフォーマットなのかな。
今回のシリアスネタは、母親の訃報で落ち込む隊員のお話。
昭和基地でも、ドラマの舞台のドームふじでも同じで、冬のあいだは何があっても、いくらお金を積んでも帰国することはできません。
私も、越冬中に長年の友人を亡くしました。
昭和基地からは弔電を打ちました。
「長きにわたる闘病生活に、おつかれさまと申し上げたいです。
安らかにご永眠されますよう、遥か南の空からお祈りいたします。」
葬儀に参列してもらった家人は、披露されたのを聞いて涙ぐんだとのこと。
南極にもメールや電話が通じるようになり、コミュニケーションは取りやすくなりましたが、”会う”ことだけは無理。
「刑務所だって面会はできるのにねえ」と誰かが言ってましたな。
プラス6度の世界
あいかわらず寒い日が続きます。
三連休を利用して岡山に帰省していますが、こちらでも雪景色になりました。
2月11日の日中は、岡山が3度、東京は4度くらい。一方、私が昭和基地で越冬した期間、2016年2月から2017年1月の最高気温は、12月22日のプラス6.1度でした。
南半球の夏至のころですね。
南極で冬を過ごした後のプラス6度は、暑いといった感じ、半そでで作業する人も出てきますが、極地では紫外線が強いので、あまりお勧めできません。
nankyoku-30nin.hatenablog.com
時々「南極経験者は寒さに強いでしょ」と言われますが、そんなことはありません。
船に揺られて3月末に帰国するころには、ふつうの感覚になります。昨日今日のお天気だと、やっぱり寒い!ですよ。
マイナス30度の世界
寒いですねー。
2月9日の朝、北海道の陸別町ではマイナス31.8度を観測したそうです。www.rikubetsu.jp
もしかして、南極より北海道のほうが寒いんじゃないか、と記録を確認したら、私が昭和基地で越冬した期間、2016年2月から2017年1月の最低気温は、マイナス34.0度でした。きわどい。
ということで、北海道でもお湯の花火が楽しめるようです。
陸別町には行ったことがあります。
昭和基地に行く前、レーダーの操作訓練を受けました。
夕食後にカラオケスナックに行ったら、他のお客が一人もいなくて…思い出深い夜でしたな。