世間がもし30人の基地だったら

日本南極地域観測隊に参加して、2015年12月に日本を出発しました。昭和基地で南極の冬を過ごして、2017年3月23日に帰国しました。帰ってからも南極に関わることがときどきあるので、更新を続けています。

「面白南極料理人」第9回

楽しみにしていた”皮なしシュウマイ”が、巨大なミートローフみたいなものになっていてちょっとがっかり。原作では、普通の一口大のシュウマイの具に、片栗粉をまぶして蒸すと、片栗粉が透明な皮になって美味、という話だったのですが。

 

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ドラマの舞台になっている、20年以上前の南極生活を感じさせるのがマージャンですね。

私は48次隊(2006-2008年)、57次隊(2015-2017年)の2回、南極に行ったのですが、48次ではそれなりに盛んだったマージャンが、57次ではほとんど見かけなかったのです。

マージャンは、参加者を4人集めないといけない、それなりに時間がかかる(2時間は最低ほしい)ので、一人で好きなだけ楽しめるゲーム、DVDなどの娯楽に負けちゃった感があります。

 

もっと昔、第一次隊だと、持っていくものは限られて、暇を持て余して、マージャン三昧…とはいかなかった。隊長の西堀さんがマージャン大嫌いだったそうで。

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西堀隊長の部下が書いたこの本はとってもおもしろかった。 

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  隊長が野外活動に出かけて留守にすると、鬼のいぬ間に…と麻雀卓を出してくるんだそうで。

 

 いや、帰国後に隊長をそんなふうに本に書いて出版する勇気は、ぼくにはないわー。

講演「南極の食とくらし~食品ロス削減に向けた講演会~」を聴いてきました

一緒に南極で冬を越した調理担当の渡貫女史が3月9日(土)に練馬区役所で講演する、との情報を街角の掲示板で見て、申し込んでみました。

講座・イベントのご案内|練馬区立リサイクルセンター

 

渡貫さん、本を出したほか、ラジオに出たりしてご多忙の様子。 

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申し込んだ時点で満席でキャンセル待ちになっていましたが、前日に繰り上げ当選の連絡が入りました。

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満席のため予約のない方は入場できません

前夜に「行くよ」と講師にメールでお知らせしたら「質疑応答でオーロラや気象のことを聞かれたらよろしく」とお返事。まさかねえ、と思ってたら、ほんとにありました、オーロラの質問。

で、ほんとに私のところにマイク回ってきました(笑)。

  

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無駄にして捨てる食品を減らすためのパネル展もありました

 今回の講演は”食品ロス削減に向けた講演会”ということで、いかに無駄なく食糧を使うか、というお話が多くありました。「そうか、あのカレーにはそんなものも入っていたのか!」と驚くこともあり…すべての食材はカレーに通ず。

 

 

「面白南極料理人」第8回

仕事が忙しくてブログをupする余裕がなく、気がつけば土曜日。

ほんとに忙しかったんです。呆れ返ってなんにも書けないっていうわけでは…。www.tv-osaka.co.jp

おネエチャンを出すならちゃんと脚本を練ってほしい。単に並べといて、夢オチでした、じゃあねえ。

 

さて、たしかに南極では「水は命」です。雪はいくらでもありますが、水にするのは大変。

昭和基地では、発電機のエンジンの熱で雪を溶かして水にしています。ドラマの舞台のドームふじでも同じです。大陸を旅するときには、雪を蓋付きのバケツに入れて、雪上車の内に入れて水にします。

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南極大陸を旅する雪上車。地球上の淡水の6割がこの大陸にあるのですが。

たくさん雪をとっても水にするとほんのちょっと。なので、旅行中はお風呂には入らない。介護用の清拭タオルなどで体を拭いて、ときどき下着を交換して、でしのぎます。

南極は寒いから、汗かかないんじゃない?と思われる方もいるでしょうが、車内は暖房がきいていて、暖かいのです。でも、空気が乾燥しているので、ベタついた嫌な感じはあまりないですね。

 

eテレ「又吉直樹のヘウレーカ!」

さて、再放送もすんだことですし、語りましょうか。

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一年あまりともに過ごした57次隊越冬隊長を見て、あんまり変わっていないなあ、と感心したり。48次隊の往復ともに南極に運んでもらった先代の「しらせ」の船内がとても懐かしかったり、ごく個人的な見どころはたくさんあったのですが、膝を叩いて納得したのは、

 基地の内部にいて、ある人はisolation(閉じ込める隔離)を、
 またある人はinsulation(保護する隔離)を感じる。

というところ。

 これは、基地の外は「日本」か、「南極」かという意識の違いよるんじゃないかと思います。つまり、

 日本から切り離されて昭和基地に居る

 南極の中の昭和基地というシェルターに居る

 どちらと思うか?

 

 私は、ずーっと後者でした。ブリザードに閉じ込められた夜、南極は、人が住めるところではないのだなあと実感しました。 

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  基地の外は日本だ、と思うと、isolation(閉じ込める隔離)だと感じてしまうんでしょう。どっちがよい、というものでもなく、人それぞれの感じ方です。

 

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8月、満月の下の昭和基地です

 

「やっぱりNHKはいいわぁ」

いいですねえ、NHK。いや、特定のTV番組と比べているわけではないですよ。

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前回私が参加した57次隊の越冬隊長が登場し、

前々回私が参加した48次隊で乗った先代の「しらせ」が登場し、

大変に満足です。

 

28日24時30分から(3月1日0時30分から)、深夜の再放送があるのでネタバレは避けますが、おすすめですよ。