2年越しのミラクル
3月21日に、日本南極地域観測隊59次越冬隊と60次夏隊が帰国しました。
今年はシドニーから成田へ直行便。私の参加した57次越冬隊は香港経由で羽田空港へ帰り着きましたが、やっぱり直行便のほうがいいよね。
春分の日でお休みだったので、お迎えに行くことができました。
成田まで足を運んだもう一つの理由は、2年前の忘れ物をとりにいくこと。
2017年の1月、昭和基地からヘリコプター出かけたインホブデというところに、デジカメを忘れてきたのです。nankyoku-30nin.hatenablog.com
なくしたのはRICHOの360度カメラ・THETA。昨年書いたこの記事のカメラです。
荷物の中にないなあ、と気づいてはいたのですが、どこで無くしたかもわかっていなかったし、予備のカメラも持っていたので、残念だけどしょうがないかとあきらめていました。(上記の記事の国内写真は予備機で撮りました)
もう忘れかけていた今年の1月27日に、私のものらしいカメラを発見したとのメールが届きました。
ケースに入れていたのですが、氷のくぼみに囲まれて綺麗に保存されてたとのこと。少し湿った感じはあったので、南極観測船「しらせ」の船内でじっくりと乾かして持ち帰って頂いたそうです。感謝!
空港でうけとって持ち帰って充電して、電源ボタンを押すとランプは点灯しました。一般に、電気機器類は高温には弱いが低温には強いとされています。昭和基地には外気とほぼ同じ温度になる、空調のない倉庫がありますが、電化製品が低温で壊れた、という話はあまり聞かないのです。
南極の大地に2年間、閉じ込められていたこのカメラに、最初に何を見せてあげようか。観測隊の帰国の日に開花が発表になった、桜の花を撮りに行きましょうか。
「面白南極料理人」第10回
今回の燃料輸送大作戦は、原作でのハイライトだと思うのですよ。映画ではカットされていたのは、解せぬ。
昭和基地でも、万一の事故に備えて、燃料は隊員の住む主要部からは1キロメートル以上離れたところに保管してあります。
そして、だいたい月に一回、遠くにある大きな金属タンクから基地主要部近くのタンクにポンプで燃料(軽油)を送り込むことになっています。
昭和基地だとポンプで送り込めばよいのですが、気温がマイナス70度以下に下がるドームふじでは、軽油が凍らないにせよドロッとしてくるので、ドラム缶ごと持ってこないと厳しいのでしょう。
南極大陸を旅するときには、手回しポンプで雪上車に給油するのですが、寒いときにはやはり軽油の粘性が上がって、ポンプが重たくなって苦労しました。
「面白南極料理人」第9回
楽しみにしていた”皮なしシュウマイ”が、巨大なミートローフみたいなものになっていてちょっとがっかり。原作では、普通の一口大のシュウマイの具に、片栗粉をまぶして蒸すと、片栗粉が透明な皮になって美味、という話だったのですが。
ドラマの舞台になっている、20年以上前の南極生活を感じさせるのがマージャンですね。
私は48次隊(2006-2008年)、57次隊(2015-2017年)の2回、南極に行ったのですが、48次ではそれなりに盛んだったマージャンが、57次ではほとんど見かけなかったのです。
マージャンは、参加者を4人集めないといけない、それなりに時間がかかる(2時間は最低ほしい)ので、一人で好きなだけ楽しめるゲーム、DVDなどの娯楽に負けちゃった感があります。
もっと昔、第一次隊だと、持っていくものは限られて、暇を持て余して、マージャン三昧…とはいかなかった。隊長の西堀さんがマージャン大嫌いだったそうで。
西堀隊長の部下が書いたこの本はとってもおもしろかった。
隊長が野外活動に出かけて留守にすると、鬼のいぬ間に…と麻雀卓を出してくるんだそうで。
いや、帰国後に隊長をそんなふうに本に書いて出版する勇気は、ぼくにはないわー。
講演「南極の食とくらし~食品ロス削減に向けた講演会~」を聴いてきました
一緒に南極で冬を越した調理担当の渡貫女史が3月9日(土)に練馬区役所で講演する、との情報を街角の掲示板で見て、申し込んでみました。
渡貫さん、本を出したほか、ラジオに出たりしてご多忙の様子。
申し込んだ時点で満席でキャンセル待ちになっていましたが、前日に繰り上げ当選の連絡が入りました。
前夜に「行くよ」と講師にメールでお知らせしたら「質疑応答でオーロラや気象のことを聞かれたらよろしく」とお返事。まさかねえ、と思ってたら、ほんとにありました、オーロラの質問。
で、ほんとに私のところにマイク回ってきました(笑)。
今回の講演は”食品ロス削減に向けた講演会”ということで、いかに無駄なく食糧を使うか、というお話が多くありました。「そうか、あのカレーにはそんなものも入っていたのか!」と驚くこともあり…すべての食材はカレーに通ず。
「面白南極料理人」第8回
仕事が忙しくてブログをupする余裕がなく、気がつけば土曜日。
ほんとに忙しかったんです。呆れ返ってなんにも書けないっていうわけでは…。www.tv-osaka.co.jp
おネエチャンを出すならちゃんと脚本を練ってほしい。単に並べといて、夢オチでした、じゃあねえ。
さて、たしかに南極では「水は命」です。雪はいくらでもありますが、水にするのは大変。
昭和基地では、発電機のエンジンの熱で雪を溶かして水にしています。ドラマの舞台のドームふじでも同じです。大陸を旅するときには、雪を蓋付きのバケツに入れて、雪上車の内に入れて水にします。
たくさん雪をとっても水にするとほんのちょっと。なので、旅行中はお風呂には入らない。介護用の清拭タオルなどで体を拭いて、ときどき下着を交換して、でしのぎます。
南極は寒いから、汗かかないんじゃない?と思われる方もいるでしょうが、車内は暖房がきいていて、暖かいのです。でも、空気が乾燥しているので、ベタついた嫌な感じはあまりないですね。